科学

動画配信に「投げ銭」で若者は何を得ている?「推し活」を徹底的に分析してみた

2025-01-05

著者: 裕美

動画配信に「投げ銭」で若者は何を得ている?「推し活」を徹底的に分析してみた

アイドルオタクから始まったと言われる「推し」という言葉。その推しを応援する「推し活」も今や一般的になってきた。特に、Z世代(1996年~2012年生まれ)を中心に「推し活」にお金をかける傾向が強い。なぜその傾向が強まっているのか、理由を探る。

ファンの消費とメンバーの活動が関連を生む

筆者が提唱する「ヒト消費」は、個人の持つ魅力や物語をエンターテインメントとして消費することを指す。既存の概念でいえば、コラボニストの廃れ薄がある「エモ消費」(エモーショナル消費)が近いかもしれない。ここ数年、特にコロナの影響で「エモ消費」が並走していると考えられる。

エモ消費の定義と例

エモ消費とは、ロジカルには説明できないもので、「心が動く」「心に響く」といった、精神的な安定や充足感を求める消費のことを指す。エモ消費の例として、廃棄飴、アイドルグループのスカウトや雇用問題、やクルディファインディング、オレインソロン(主に月額課金制のネット上で展開される会員制コミュニティ)などを挙げ、自身の消費が役に立っているという自己満足感、大きなものを作成することで自己充足感、社会的な役割を実感することが得られるという認識を持つことが消費の動機付けとなる。不特定の他者支援という視点から見れば、アイミス消費の側面もあることが理解される。

若者のヒト消費の二つの側面

若者の考えるヒト消費には、(1)支援消費、(2)物語消費の2つの側面がある。

「支援消費」とは、他人を支援することが支援する人自身(消費する人)の充実に繋がるという消費である。「推し」と呼ばれる存在を応援することで生まれる達成感や充足感を示す。

「推し」であるアイドルやクリエイターへの支持を通じた、私的な充足という観点から見ると見えてくる。若者は自分をより良くする機会を持ちたい、自己成長を求めたいと望む傾向があり、その条件を満たすものとして「ヒト消費」を選んでいるのかもしれない。