世界

G7不安な年越し カナダは首相退陣の危機、欧州も大混乱 トランプ政権だけ?

2024-12-26

著者: 健二

【パリ=三井美奈】先月7カ国(G7)は今年、欧州、カナダで各国政府権が弱体化し、不安な年越しを迎えることになった。ウクライナ支援や対中包囲網で、民主主義圏の首領たちが試練の時を迎えた。

2025年にG7議長国となるカナダでは、トルドー首相が退陣の危機に直面している。トルドー氏は中道左派で在任9年、少数与党による政策運営が続いている。支持率は急落しており、先月、「カナダが不法移民対策を取らない場合、カナダの輸入品に25%の関税を課す」と発表され、反発を呼んでいる。

トルドー氏は腑に落ちない対応を不満として今月、財務相が辞任。野党は不信任案提出の構えを見せている。来春にも総選挙が前倒しされる可能性がある。

トルドー氏の18年、カナダが議長国となったG7首脳会議では、トランプ氏との大揉め事があった。このとき、トランプ氏は貿易をめぐる共同声明に反発し、トルドー氏を「不誠実で弱虫」と表現した。

サウスウエストでは更なる数ヶ月の不安を煽る動きがある。財政赤字が欧州連合(EU)との基準を違反し、財政再建が急務となっている。バイデン前首相は急落型の25年予算案を下回で強行採決し、左派の野党から不信任案を突きつけられている。

トルドー氏は、中道野党から支持を引き出して新たな予算案を2月に成立させたい構えだが、政府の壁は「ヒマラヤ(山脈)のように高い」との見方もある。

そこで、次の年を迎えるにあたり、G7の将来に楽観的な見方は少ない。ましてや、民主主義が試練に直面する中、各国の支持率という課題が深刻化。トルドー氏が続投できるか否か注視される。