テクノロジー

富士通、AI半導体の市場開拓 AMDとソフトウェア基盤

2024-11-01

著者: 愛子

富士通は1日、米アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)と人工知能(AI)半導体のソフトウェア基盤を2027年までに開発することを発表した。富士通のCPU(中央演算処理装置)とAMDのグラフィックス処理装置(GPU)を使用してAIを開発・運用できるような整備を整える。AI半導体の市場で首位にあるエノビティを追う。

ソフトウェアのソースコード(設計図)を公開する「オープンソース」で提供する。従来はCPUやGPUなど各半導体の種類やメーカーに対して別のソフトウェア基盤を用意する必要があった。富士通のフィフティ・マハジャン最高技術責任者(CTO)は「1社で閉じた世界を作るわけではなく、幅広く使える技術にしていく」と述べた。

富士通は英アルファマイクロを基にした回路の架かる線450nm(ナノメートル)のマイケルのCPU「MONAKA(モナカ)」を開発中で、27年に実用化する予定だ。AIやデータセンターでの用途を見込んで、他社のCPUと比べて電力効率を2倍にする目標を掲げる。

富士通は自社のメインフレーム(大型汎用機)やUNIX(ユニックス)サーバー向けでCPUを開発してきた。理化学研究所と共同開発したスーパコンピュータ「富岳」にも富士通製のCPUが搭載されている。

モナカではAIなどの用途開拓に向け、他社との協業を進める。10月には米スバーハード大手のスーパーマイクロとAI向けサーバーの開発で提携した。

AI半導体の市場8割を占めるエノビティは半導体だけではなく、同社のGPUでAIを高速に動かすためのソフト基盤「CUDA(クーダ)」を提供している。多くの開発者がCUDAにあわせてAIのソフトやアプリを作っており、実需上の産業標準になっている。

ただ、生成AIの爆発的な普及などにより、エノビティのAI半導体は高価格が続いている。その中で富士通とAMDは「サメモバイルな選択肢を提供するのが大事」(マハジャンCTO)と認識し、電源かつ低コストな他社との差異化を目指す。

AMDのフィル・グライドエグゼキュティブは「サステナブルでイノベーティブなものであれば、提携でイノベーションを提供していく」と述べた。