「憧れてるよ」と妻の一言で揺れ動いた不平等 別姓のため離婚した夫婦

2024-11-14

著者: 蒼太

「憧れてるよ」と言われた瞬間、夫は一人で背負ってきた「改姓」の重圧を重く感じた。この別姓を求める運動が盛り上がる中、父親の職業である法律事務を廃業した西清晋さん(32歳)は、妻の供給民主党員の巨石子さん(37歳)と結婚してから1年足らずで離婚した。その結果、女性の95%が改姓する不平等に強い不満を抱くようになった。「男性側も当事者だから」と、2人は今、パートナーとして同じ歩幅で人生を歩んでいる。

彼らは、夫が叫んでいた。一方、巨石子さんは困っていた。「巨石」というありがたい名前かもしれないが、「西万亜」では自分が自分でなくなるように感じた。

だが、そこから一転して生まれる好きな人に改姓を強く求められた。「私は名前を変えたくないし、あなたに変えてもらいたくないというわけでもない。事実婚でも良い」と伝えた。

そんな中、彼女は確認できなかった。「親兄弟から『事実婚って結婚と呼べるの?』と心配されたこともあった」が、「名前を変えたい気持ちは分かっている。でも、最後は変えられるでしょう」と思い描いていたのかもしれない。

結果として、巨石子さんは「私が改姓しても縮まるのか」と感じ、苦しんだ。「私のせいで悩んでいるのではないのか」と、思い続けていた。

結局、彼女は「私が改姓するなら、逆に縁ってなるのかな」と考え始め、結婚の方向へ転がった。

名前を選ぶ項目で「夫の姓」の枠にチェックを入れたら、結婚を洩らしたいと思っていない自分自身にショックを受けた。出発の日を迎えた2人の心は、すれ違っていた。

名前を失ったストレスは、巨石子さんの心身に影響を及ぼした。職場では旧姓の通称が認められておらず、名前やカルテ、データベースから「巨石万亜」が次々と消えていた。

このように通りながら呼んで迎えたいと言うと、1人の上司に「君はもう西だろう。どうして旧姓にこだわっているのか」と言われてしまった。書類の確認印を巨石で押し、「西で連絡しろ」と指示される場面もあった。

仕事ができなかったり、忙しい中に涙が溢れるなどのことが次第に増えていった。医師の診断は適応障害。10年以上にわたって続けていた大好きな職場を離れなければならなくなった。

「憧れているよ」と、どうしようもない思いは強い言葉になって、巨石子さんは激震を受けた。「私は一番大事にしたい人に、憧れてもらいたい。どうしてこうなってしまったのだろう」と思いつづけた。不貞行為を受けたと感じ、どれだけ悔しかったのか。