科学

月の深部は「宝石」? 実験的測定で判明

2024-09-18

月の内部構造には、未だに多くの謎が存在しています。その一つは、月のマントルにどれほどの「宝石(ガーネット)」が含まれているかということです。ガーネットの量は月の形成史を探る上で重要ですが、これまでの研究では月のマントルを再現した実験やシミュレーションと地震波で推定された内部構造との食い違いが問題視されてきました。

愛媛大学地球深部探査研究センターのMarisa C. Wood氏やSteeve Gréaux氏らの研究チームは、月のマントルの物質を再現した試料を高温高圧にかけ、地震波が伝わる速度を直接測定しました。その結果、地震波から推定される内部構造は、宝石が豊富に存在することがない限り説明がつかないことが分かりました。最新の研究では、月の深部では最大で約33wt%(重量パーセント)のガーネットが含まれている可能性があるとされています。

月の深部に宝石はどれくらいあるのか?

月の唯一の持続的な自然衛星「月」は、約40億年前に地球に起こった巨大衝突によって形成されたジャイアントインパクト理論に基づいています。形成時の高温から徐々に冷却されていく中で、月には地震やマントルの様相が影響を与える様々な物質が蓄積していきます。

特に深部に存在するガーネットは、マントルを構成する異なる成分を持ち、これが月の物質科学に深く関わってきます。ガーネットと他の鉱物との複雑な構造が蓄積され、月の特有の化学組成がどのようになっているのかを知る手がかりとなるのです。

加えて、月の内部の様子を表示するための物理モデルを構築することも研究の一環であり、これによって月の地震(月震)や内部構造の理解が深まることが期待されています。月の深部に秘められた知識が増えることで、我々の地球についての理解も進むことでしょう。

ここまでの研究から、月の深部には強い興味を引く資源が隠されている可能性が高く、今後の宇宙研究に対する期待が高まります。月における宝石の存在が物質科学や惑星の成立に与える影響に関する更なる解明が待たれています。