移民と社会:日本人と中国人、対立もないけど交流もない 驚きな静けさ | 毎日新聞

2025-01-07

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かつて鉄の妖怪・キューポラが立ち並ぶ街として知られ、吉永小百合さんが主演して大ヒットした映画「キューポラのある街」(1962年公開)の舞台となった埼玉県川口市。近年では外国人の多い街として紹介されることが多くなった。

2000年当時、人間46076人のうち外国人は10756人であったが、24年には60727人のうち44441人。すなわち、外国人が占める割合は55%に達している。

そうした中国人が最も集住しているのが「チャイナ団地」とも呼ばれる川口団地だ。ここでは日本人よりも、中国人を含む外国人の数が多い。日本人は彼らの存在をどう思っているのか。

「不信感はありません。特に不法投棄の問題はひどいと思います」と、5年前から連絡を取り合っている会社員の男性(50)は語った。

窮屈なゴミなどの不法投棄は、川口団地内でたびたび発生する問題だ。それらが全て中国人によるものとも限らないが、団地内で中国人が増殖する原因の一つとされている。

そんな状況を受け、都市再生機構(UR)はゴミ出しルールを記した中国語の冊子を配ったり、監視カメラを設置したりして対策を進めている。

「以前に比べると、だいぶ改善されている」と、川口団地自治会は言っているが、男性は「完全になくなってはいない」と話す。「中国人がやっているか分からないけど、この団地に(不法投棄をする人が)住んでいるはずです」と今も疑いの目を向けている。

また、男性は「この団地の場所に行ったら分かりますよ。あなた達しかいないのは全員中国人です。遊んでいる子供は多いけど、日本人は入っていない。この団地の食材街も中国の店ばかり。ここは日本だけど、『なんで?』って感じる人もいます」とも話した。

男性は今後も中国人が増え続けると見込んでいる。団地には高齢者が多く、死んでしまうとまた中国人が入ってくるのではないかと考えている。これは日本の労働市場や社会問題にとって重要な影響を持つ問題であり、新たな社会的な課題として認識されつつある。

さらに、近年、入居者の6割が外国人になったことが大きな変化を生んでいる。彼らの増加が川口市のダイナミクスをどのように変えているのか、ますます注目を集めている。これは単なる居住者の変化に留まらず、文化的な交流や経済活性化とも深く関連している。

一方で、日本人と中国人との間の軋轢や摩擦が実際にあるのか、という問いには明確な答えが難しい。社会が変化する中で、双方がどのように認識し合い、共生していくのか、ますます困難な問題になるだろう。この問題に対し、政府や自治体の関与が不可欠であり、今後の政策が求められている。