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異論あり!Intelの「現時点の最速CPUコア」にQualcomm反論、動作時間も優位と主張

2024-10-25

著者: 裕美

Qualcommの反論の概要

Qualcommが、IntelのIFAでのCore Ultra 200Vの発表に異論を唱えました。

Snapdragon Summitの初日に行われた同社のCEO、クリスチアーノ・アモン氏の会見で、AMDが7月に発表した「Ryzen AI 300シリーズプロセッサ」と、Intelが9月に発表したCore Ultra 200Vとの比較データを明らかにしました。

10月23日に行われる最終日に、その内容が詳しく説明される会見が行われ、Intelが9月に発表したCore Ultra 200Vシリーズに対するQualcommの反論が行われる予定です。

Intelの主張とQualcommの見解

Qualcomm Technologiesのエンジニアリング部門長スリラム・ディクシット氏は、「Intelは9月に発表した報告書の中で、現時点で最速のCPUコア(英語でThe Fastest Cores. Period.)として表現した。それに対しての見解を説明したい」とし、Intelの見解に対する異論があることを示しました。

シングルスレッドにおいて、マルチスレッドではSnapdragonが上回っているとアピールしています。

シングルスレッドとマルチスレッドのパフォーマンス比較

ディクシット氏は、「Intelが公開したCinebench 2024のシングルスレッドの結果では、X1E-78-100(Snapdragon X Eliteの最下位SKU)に比較して、Core Ultra 288Vが20%高いという結果が出ていた」と言及しました。

また、最上位SKU(X1E-84-100)と比較すると、テスト時点で市場に出回っていたCore Ultra 7 256Vと比べても上回っていたが、PCWorld紙が公開したCore Ultra 9 288Vのスコアも上回っていたと述べています。これに対してQualcommの最上位SKUであるXIE-84-100の方が高性能を発揮できると強調しています。

Snapdragon版とCore Ultra 200V版の両方が同じ筐体で用いられているDellの「XPS 13」で比較したところ、Cinebenchのマルチスレッド性能では、Snapdragon X Elite(X1E-80-100)の方がCore Ultra 7 256Vに比較して92%高速度だというデータも示されています。

コアの違いによるパフォーマンスの差

なぜこのような結果に至っているのかというと、それは主にコア数とコア構成の違いからです。Snapdragon X EliteはOryonのプライムコアと呼ばれるCPUコアが12コアあり、それに対してIntelの方はPコアが4つ、Eコアが4つで、プライムコア(Pコア)がその3倍存在するSnapdragon X Eliteの方がCinebenchにおいてCPUをフルロードにするテストでは有利な結果が出る可能性が高いと言えます。

バッテリー駆動時間の比較

QualcommはさらにGeekbench 6やSPECint_baseなどに関しても、Intelの主張に対抗するデータを公開しました。

また、QualcommはSnapdragon X Elite(X1E-80-100)とCore Ultra 7 256Vを搭載した同じXPS 13でバッテリー駆動時間を計測した結果を公表しました。

それによると、Snapdragon X Eliteは28.7時間、Core Ultra 7 256Vは24.2時間の駆動が可能で、4.5時間Snapdragon X Eliteの方が長いという結果に至ったと説明しました。このことに続いて、9月のIntelの発表時にIntelは「同じディスプレイサイズ、同じバッテリー容量」でCore Ultra 200Vの方が1.7時間長いと述べ、これに関しては結果が分かれた形です。

さらに、Qualcommはバッテリー駆動時間に関してSnapdragon X Elite(X1E-80-100)がCore Ultra 7 256Vに比べて性能の落ちが少ないというデータを公開し、バッテリー駆動時間の方が高い性能で使えるともアピールしました。

総評と未解決の問題

今回Qualcommが公開したデータを見ていると、シングルスレッドの性能に関しては、テスト環境(それら外気温などで変化する可能性)が影響しており、いずれもシングルスレッドに関しては同等と仮定しています。その上で、どちらのシングルスレッドに関しても見解に差があるように思われるが、これに関してはQuantitative Assessmentとしての対抗意見を述べたいところです。

実際、今回のセッションでQualcommは一度も3Dゲームの性能に関して反論をしなかった。IntelのIFAでの発表ではIntelは「Snapdragonでは動かないゲームが多く、性能はCore Ultra 200Vが上回っている」と主張していたが、それに対しての反論は一切なかったのが気になるところです。