科学
西表島近海の生物が持つ抗がん作用のある天然化合物の合成に成功 中央大と高知大(Science Portal)
2024-12-24
著者: 裕美
イリオモテオリト-1aの発見と合成
結晶化した「イリオモテオリト-1a」なる新しい化合物が、南国・西表島の澄んだ海に生息していた生物から発見され、その化学合成の決定とその化合物の合成に、中央大学と高知大学の共同研究グループが成功した。
抗がん作用の可能性
「イリオモテオリト-1a」は、がん細胞の増殖を抑える効果があり、創薬につながる新しい抗がん物質となる可能性を秘めている。今後は動物実験を行い、具体的な抗がん作用の解明に挑むとされている。
研究の背景
この研究は、西表島の澄んだ波打ち際に生息する「藻類」から見つかった天然物質を基にしており、約40年前に高知大学の須賀田教授(海洋天然物化学)の研究室で先行研究がスタートした。その後、須賀田教授は東京大学内の研究所で活発な研究を進め、2000年代初頭には「イリオモテオリト」が発表された。
海洋生態系の変化と新たな可能性
近年、西表島の海洋生態系において、特定の微生物や藻類が海洋環境の変化に適応する能力に注目が集まっている。これにより、新たな生薬としての可能性が広がっている。これらの研究結果は、新しい抗がん剤の開発に向けての重要な一歩となると期待されている。
海洋天然物の治療薬としての潜在能力
一方、特に海洋天然物が持つ生理活性成分は、がんのほかにも様々な疾病に対する治療薬の開発に寄与する可能性があり、その可能性を検証する研究が今後の課題となっている。特に、西表島の独特の環境が生んだ生物から得られる成分は、他の地域では得られない貴重な資源といえる。
今後の医療技術への期待
最新の研究では、抗がん作用に加えて、抗炎症作用や抗菌作用を持つ化合物が多く発見されており、これらの化合物を利用した新たな医療技術の開発が期待される。近い将来、これらの成果が医療現場で役立つ日が来ることを望む。