胃酸を抑えるための薬を使っている人は、使用していない人に比べて片頭痛やその他の重度の頭痛のリスクが高い可能性があることが、新たな研究で示されました。このようなリスク上昇は、プロトンポンプ阻害薬（PPI）やH2受容体拮抗薬など、様々な種類の胃酸分泌抑制剤によって認められました。

米国メリーランド大学のマーガレット・スラビン博士によると、「これらの薬は、広く利用されているが、片頭痛や重度の頭痛との関連を考慮する必要がある」と述べています。この研究は、2024年4月24日に「Neurology」に発表されました。

研究では、PPI、H2ブロッカー、および制酸剤の使用が1万718人の成人の頭痛リスクに与える影響を調査しました。結果として、PPIを使用している人のうち25%が片頭痛または重度の頭痛を経験し、一方、使用していない人は19%でした。また、H2ブロッカー使用者は25%で、非使用者は20%でした。

この研究によると、胃酸分泌抑制剤の使用は、特に女性や高齢者において片頭痛リスクを高める可能性があります。スラビン博士は、「このような結果は、医師が患者に対し、これらの薬の必要性や薬の使用を続けるべきかどうかを評価する重要性を示している」と強調しています。

研究の結果は、さらに多くの調査が必要であることを示唆しており、頭痛を持つ人は使用している薬について医師と話し合う必要があります。特に、長期にわたる疾患の場合は、そのリスクを理解し適切な治療法を選ぶことが重要です。

さらに、胃酸分泌の逆流はGERD（胃食道逆流症）を引き起こす要因であり、これが治療に影響を与える可能性があります。Slavin博士は、「胃酸の逆流を抑えるためにこれらの薬を使っている場合、その必要性を考慮した上での使用が求められる」と付け加えています。