健康

「タクシー運転手はアルツハイマー病リスクが低い」は本当か? 米研究結果

2024-12-25

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2023年12月17日に英医学雑誌BMJ(British Medical Journal)に掲載された研究によれば、タクシー運転手や救急車の運転手は、アルツハイマー病による死亡リスクが低い可能性があることがわかった。この研究は、米国の死亡証明書を分析して得られた成果であり、研究チームが強調するのは、これらの職業が必要とする特別なナビゲーション技術が、アルツハイマー病を予防する助けになるかもしれないという点だ。

研究では、2020年1月1日から2022年12月31日までの間に発表された死亡証明書の記録を調査し、年齢、性別、教育レベルなどの人口統計要因を調整した。アルツハイマー病で死亡した人の合計は約900万人で、その中でタクシー運転手や救急車運転手の割合が比較的低いことが示された。

タクシー運転手のような職業は、環境認識、方向感覚、迅速な判断力を必要とするため、脳をより活発に保つ可能性があると研究者は指摘している。特に、タクシー運転手は地理的な知識やルート選択の能力が求められるため、脳の神経回路に良い影響を与える可能性があると考えられている。

興味深いことに、研究チームはまた、アルツハイマー病リスクを低減するための他の職業と比較して、タクシー運転手や救急車運転手がどういった点で優れているかに関しても言及した。特に、これらの職業は共に身体を使うことでストレスを軽減し、脳の健康に寄与する可能性があるため、職業選択の重要性も強調されている。

さらに、タクシー業界の中でも、アルツハイマー病の影響を受けにくいという傾向が示されたが、その背景には運転中に行う高い集中力や社交的な関わりが脳の活性化を助けていると考えられる。

この研究結果は、これからのアルツハイマー病予防策において職業選びが重要な要素になる可能性を示唆しており、今後さらなる研究が期待される。タクシー運転手という仕事が単に移動手段を提供するだけでなく、脳の健康を保つ役割を担っていることが科学的にも裏付けられた。して、その結果、今後新たな公衆衛生政策が必要になるかもしれない。