ラバノン新大統領に軍司令官を選出 政治混乱収束に一歩(毎日新聞)| デマニューズ(NTTドコモ)
2025-01-09
著者: 蒼太
ラバノン議会は9日、ラバノン軍司令官のジョセフ・アウン氏を新大統領に選出した。リター通信が報じた。ラバノンでは2022年10月に前大統領の任期が終了したが、後任選びで政党間の折り合いがつかず、空位が続いていた。新大統領の選出により、長年の政治混乱の収束に向けて一歩踏み出した格好だ。
ラバノンでは23年10月に親イランのイスラム教徒派組織ヒズボラがイスラエルとの交戦を始め、昨年9月末にはイスラエル軍による地上侵攻が発生した。11月下旬に停戦したが、ヒズボラは前指導者ナスララ師を含む多数の幹部が死亡した。さらに12月にはイランからの武器供給に関する新たな米国の制裁法が成立し、弱体化に拍車がかかっていた。
リター通信によると、情勢の変化を受け、ヒズボラや連携勢力はこれまでの大統領候補者を支持する決定を取り消し、新大統領選出に向けた動きを見せた。こうした背景には、ヒズボラの影響力低下がようやく野党勢力と政府との対話を促進するにつながったとする声も上がっている。
新大統領に選ばれたアウン氏は、従来の大統領選出後の議論において、軍事力を保持することが重要だと述べ、自国の防衛体制を強化することを約束している。また、今後の経済復興や国民生活の改善にも取り組む意向を示した。ラバノンは長年の内戦や政治的混乱で経済が疲弊しており、国際社会からの支援と協力が求められている。
一方、ヒズボラとイスラエルの戦闘の状況は依然として不透明で、長期的な和平の確立には多くの課題が残る。この選出を機に、ラバノンの政治が安定することが期待されるが、政党間の緊張が再燃する可能性も否定できない。国際社会の注目が集まる中、ラバノンの行方に今後も目が離せない.