健康

高齢者の非ST上昇心筋梗塞、血行再建は保守的治療と差なし:日経メディカル

2024-09-25

イギリスのニューカッスル大学のVijay Kunadian教授らは、75歳以上の非ST上昇心筋梗塞(NSTEMI)患者に対して、薬物治療のみに基づく保守的な治療方法と、血行再建を併用した介入の効果を比較するランダム化比較試験を行い、中期的な4.1年の追跡で心臓関連死亡や非致死的心筋梗塞のリスクに差が見られなかったと報告した。この結果は2024年9月1日のNEJM電子版に掲載される予定である。

急性冠症候群の治療ガイドラインには、75歳以上の高齢者に推奨される治療法は示されていない。入院試験では、高齢者患者が除外されることが多いため、エビデンスが乏しいのが現状である。高齢者のNSTEMI患者に対する入院特性は多様であり、患者ごとにフレイル、重症度、認知機能、健康関連QOLなどを考慮した治療が選択されている。そうした中、研究者たちは高齢者NSTEMI患者を対象に、薬物治療による保守的な治療と、薬物治療に加え介入的治療を比較する大規模な入院試験を計画した。

この研究の結果は、高齢化社会の進展に伴い、急性冠症候群の治療戦略に新たな方向性を示すものであり、医療現場において高齢患者の治療方針を見直す契機となる可能性がある。特に、薬物治療の重要性と、介入的治療の選択肢について再評価が求められる。