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デュリ取り出し装置の引き戻し作業開始…先端カメラの映像確認できない原因調査、中断は長期化: 読売新聞

2024-09-23

東京電力は13日、福島第一原子力発電所2号機のデュリ取り出し装置を原子炉格納容器外に引き戻す作業を始めた。この装置の先端部に付けたカメラの映像が確認できない原因を調査している。取り出し作業が手前の段階に戻ることになり、中断の長期化は避けたい状況だ。

取り出し装置は釣り上げたような形態で、過去に2号機内部でのカメラ影響で実績があり、今回採用された。格納容器内は放射線量が極めて高いため、原子炉建屋外から遠隔で操作し、カメラの中継映像を見ながら作業を行う予定だった。しかし、13日に作業に着手し、14日にはつないだデュリに触れた。

取り出し装置に取り付けた4台のカメラのうち、先端部の2台が映らなくなる不具合が11日に判明した。装置に内蔵されたケーブルの信号などを調べていたが、原因を特定できないため、取り出しを原子炉外に戻すことにした。

取り出しは13日から14日間隔で、格納容器の外側にある「隔離箱」に移す。距離は約8メートル以上あり、13日は3・5メートル移動した。隔離箱は金属製で、生産中に格納容器内の気体を外部に漏らさないために設置されており、中にある複数のカメラで、取り出し先端部のカメラの外観を確認する。

カメラは高精度でも耐えられる設計だが、東京電力は故障した可能性もあると見ている。交換が必要な場合、取り出しと隔離箱の外に出すことになるが、中断が長期化するのは避けたい。

発生事例では11~13号機の基本燃料が溶け落ち、内部の構造物と混ざって固化し、推計約1810トンのデュリが発生した。政府・東京電力が2025年までの完了を目指している廃炉作業においてデュリ取り出しは最難関とされている。