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「爆破」の開城工業団地、どうなった? 金正恩氏新政権で新たな動き | 毎日新聞

2024-09-29

4年前、北朝鮮と韓国が共同運営する事務所が爆破される映像が世界を驚かせた開城(ケソン)工業団地。速報によれば、何が起こったのか、北朝鮮は何を狙い、なぜ最近になって動きが活発化したのか。

記者は22日、軍事境界線から41.5キロに位置する韓国北西部・ピョンチャンの都羅(トラ)展示台を訪れ、開城工業団地の工場群の様子を確認した。

展示台からは、操業時に工業団地のランドマークとして知られた15階建ての総合支援センターでのグラスが割れ、窓枠だけの状態で放置されているのが確認できた。真向かいにあった南北共同連絡事務所が爆破された際の衝撃の大きさを物語っている。

開城工業団地では、南北の経済協力事業として2004年に設立され、100以上の韓国企業が進出し、北朝鮮の労働者を採用していた。しかし、北朝鮮による強制排除や検問の厳しさが影響し、団地内の収益は北朝鮮側が管理する形となった。

その後、文在寅(ムン・ジェイン)政権下で南北関係が改善され、2018年には南北首脳会談が行われたものの、米朝交渉の行き詰まりなどから再び緊張が高まり、一部の事業が凍結された。特に、2018年から2019年にかけての米朝、南北の関係悪化によって、開城工業団地は重要な局面を迎えた。

最近の動きとして、金正恩(キム・ジョンウン)政権下で、団地の運営再開が模索されているとの報道が浮上している。これに関連して、金正恩氏は地元の生産能力を高めるため許可を出し、工場群の再稼働に向けた準備が進められているという。これは、北朝鮮が経済自立を目指す中での新しい試みとも言える。

また、韓国側でも、開城工業団地再開のための支援策を議論しているとの情報もあり、今後の発展に注目が集まっている。これまで経済協力は手を引いていたが、今後両国の関係改善の可能性を秘めている。33万人以上の北朝鮮労働者が関与する開城工業団地は、両国の未来を占う重要なカギを握っている。