2月優待人気トップ「イオン」 3-11月期は最終赤字でも長期成長ストーリー変わらず(宮田真之)
2025-01-13
著者: 陽斗
消費マインド低下でイオン利回り悪化
2月の株主優待人気トップ、イオン(8267)の投資判断「買い」を継続します。イオンは、総合小売業として成長するビジネスモデルを確立していくつもりで、そのための構造改革が着実に進展していると考えています。
しかし、イオンが10日発表した第3四半期決算(2024年3-11月期:2025年2月期の第3四半期まで累計)では、一つ、減損材料が出ました。長引くインフレのために国内の消費マインドが低下している影響を受け、前期好調だったイオンリテールの利幅が悪化したことです。
第3四半期までの営業利益は前年同期比17.7%減の1,175億円でした。人件費や電気代、物流費などコストが上昇する中、販売総利益を十分に確保することができず、会社想定を下回る利幅となりました。店舗減損損失など特別損失を前提にしたことから、最終利益(純利益)はマイナス156億円の赤字となりました。
イオン連結企業業績:第3四半期まで累計2025年2月期通期会社予想
GMS(総合スーパーマーケット)の営業利益がマイナス192億円の赤字(前年度同期は15億円の黒字)に転落しました。これには、一過性の要因(天候要因)もあります。記録的な高温の9月~10月の秋冬物商品が不振でした。だが天候要因は一過性です。11月から気温低下に伴って衣料品販売は好調に推移しています。
GMSが不振だった要因はそれだけではありません。長引くインフレの影響で、消費マインドが低下し、食品などで値下げや増販をしなくても販売を強めなくなっている問題があります。
日本では、昨年より名目賃金の上昇率が高まっていますが、物価上昇に追随していないことから、実質賃金が依然として解消されておらず、特に高齢者層の消費が落ち込んでいます。
さらにイオンの本業の回復には、依然として時間がかかると予想されますが、長期的には、業界全体が改善していく見込みです。
長期的には、消費環境が回復することを期待しており、今後は、株主優待制度の重要性がさらに高まってくることでしょう。