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2023年の世界成長率3.3%に上昇、日本経済への影響 - 米経済の強さ加味

2025-01-17

著者: 海斗

国際通貨基金(IMF)は、2025年の世界経済の成長率予想を上方修正した。米国の需要が想定以上に強いことに加え、世界的インフレ緩和も各国・地域の経済に利下げを促し、成長を後押しするとの見通しを示した。

IMFは17日発表した最新の世界経済見通しで、今年の世界の成長率が3.3%と予測され、昨年10月に公表された3.2%から引き上げた。26年の予想も3.3%に据え置かれている。

日本の今年の成長率は1.1%を見込んでいる。来年は0.8%とし、25年の米国成長率は2.7%で、主要国・地域で最も大きく上方修正され、世界全体の成長見通し改善に寄与した。一昨年10月公表の予測は2.2%だった。

IMFのチーフエコノミストのピエール-オリヴィエ・グランシャは記者団に対し、「注目すべきは米国と世界の他の地域との連動(乖離)である」と指摘した。

おおよそ言えることは、米国がコロナ禍前の貿易成長率を回復したのに対し、中国と欧州圏はそうではない。世界の成長見通しへのリスクはなお下向きだとIMFは分析した。

25年の中国の成長率予測は4.5%から4.6%に引き上げられ、ユーロ圏は1.5%と0.2ポイント下方修正された。

トランプ政権前に発表された今回のWEOは、次期政権で想定される貿易や税、移民、規制に関する経済プランを逆風としない。

IMFは大部分の政策が米国と世界の成長にとって短期的にプラスになるとしたが、「不確実性は高い」と認識を示した。一連の政策は中期的リスクを伴う。

2017年に時間制約として成立した「トランプ減税」の持続は国内総生産(GDP)を押し上げ、グローバル経済にも一定の「プラスの波及効果」が期待される。しかし長期的には財政政策のより大幅な緩和が必要になりうること、いわば「波乱要因になる恐れ」がある。

グランシャに寄せられたそうした事例もあり、米連邦準備制度の利上げなどは予想よりも早いペースで利下げできず、利上げを強いられる可能性もある。前期の成長率が徐々に鈍化することは過去のデータからもCNB(中央銀行)の政策に与える影響が見込まれる。

世界全体の成長率は昨年の5.7%から今年が4.2%、来年は3.5%に鈍化し、景気抑制的でない金融政策で成長を支えることが可能になるとIMFは見込んでいる。