自転車で下校中に車と正面衝突「ヘルメットが身代わりに」…一命取り留めた高校生が着用を推奨: 読売新聞

2024-12-22

著者: 芽依

昨年4月に改正道路交通法が施行され、自転車に乗る際はヘルメット着用が努力義務化された。しかし、未だにヘルメット着用率が低迷している。その下校中の事故に遭い、ヘルメットの取り付けが一命を救った、埼玉県南部の男子高校生が、「ヘルメットは必要品です」とその重要性を訴えている。

事故は4月下旬の夜、自転車で下校時に道路の左端を走行中に発生した。相手の車が自分の進行方向に向かって突然近づいてきたのだという。

「やばい」と思った瞬間、すでに正面衝突が避けられないことを理解した。体が投げ出され、頭部がアスファルトに叩きつけられた。

「意識はあったが、痛みが激しくて何が起こったのか判断できなかった」と男子高校生は回想する。自転車事故から救急車が到着までの間、彼は自分を取り巻く状況が悪化することを感じていた。運ばれた先の病院で医師から言われたのは、「あなたのヘルメットがなければ、もっと重傷だった」という言葉だった。

事故後、彼は傷の治療をしながら周囲の状況を観察している中で、ヘルメットの重要性を実感した。事故現場にはヘルメットを着用せずに自転車に乗る人が多く、「もっとみんなにヘルメットを着けてほしい」と思ったという。

今年7月、彼は自転車利用者向けの安全教室で講師として登場し、自らの経験をもとに事故の危険とヘルメットの必要性を訴えた。「事故は他人事ではない。しっかりと身を守るために、自転車に乗るときは必ずヘルメットを着用することが大切だ」と力を込めた。

加えて、全国的な統計からも衝撃なデータが浮かび上がっている。県内の自転車事故で、昨年度は12件が発生し、そのうちの6件はヘルメット未着用の状態だった。いかにヘルメットが命を守るのか、彼の体験はその問いかけを続けている。自分の身を守るため、彼は「多くの人にヘルメットを着けることの大事さを伝えていきたい」と語っている。