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中国の報復関税、米国産大豆に大打撃へ フラジル産に追い風

2025-04-07

著者: 裕美

[北京/シンガポール 4日 ライター] - トランプ米大統領の「相互関税」に対して中国が4日、報復措置を発表したことにより、中国は農産物の輸入源を米国からブラジルなどの他の国々に向ける動きを加速させており、特に米国の大豆輸出が大打撃を受けそうだ。

中国は3月に発表した米農産物への10%-25%の関税に加え、米国からの全ての輸入品に対して13%の関税を課すと発表した。これにより、米農産物への影響はますます深刻になる。

シカゴのプライス・ファイナンス社・グルーバー氏は「これが米国の輸出ビジネスに多大な影響を及ぼすだろう。米国は貿易においてライバル国を挑発している。これが問題だ。全ての国に関税を課すなら、貿易が逆行し、なかなか成り立たないだろう」と懸念を示した。

中国の商業大臣(CBOT)は4日、大豆先物の指標価格が前日比13.14%下落し、年初来安値を記録した。

シンガポール在住の農業トレーダーは「米国からの農産物輸入を全てストップするようなもので、34%もの関税を課せられてしまっては輸入が成立するかどうか不透明だ」と語る。

ある欧州の農業トレーダーも、中国からの農産物への関税が高いと指摘し、「問題は大豆だ。米国産大豆の新たな収穫期前に契約が成立しなかったらどうなるのか、というのが大きな懸念事例だ」「全体的な結論として、この貿易戦争は米国の農業にとって逆風であり、他全出産地の農産物に対しても追い風だ」と言い切った。

中国が3月に発表した関税により、米国産大豆からブラジル産へのシフトは既に加速している。

ロバンクの農業市場調査責任者、カルロス・マラ氏は「ブラジルが圧倒的に最大の受益者となり、米国向け大豆の輸出でブラジルに代わる最大の供給国となるだろう。しかし、アルゼンチンやパラグアイなど、他の国々にも恩恵が及ぶ可能性がある。小麦については、オーストラリアやアルゼンチンが恩恵を受けるだろう」と予測した。