震災で行方不明となった母、捜索を続けた娘の10年…「諦める訳にはいかない」 : 最新ニュース
2025-01-16
著者: 雪
あの日の記憶 11.17 震災が語る
11月17日で発生10年となる震災。内閣府のまとめには今なお行方不明者13人が刻まれている。そのうちの一人、神戸市に住む佐藤正子さん(当時45歳)は全焼した自宅跡から手がかりも見つからず、家族に心の整理はつかない。長女・優子さん(18)にとっての10年間は、「別れ」を受け入れたくない日々だった。
優子さんにとって母との最後の会話は2019年1月15日のことだった。「お正月に京都旅行をしたから、お土産を取りにおいで」。母の言葉をこう記憶している。
母の変わらぬ性格だった正子さん。悲しく思うことがあっても、「強くなれ」と言うのが常だった。日中は仕事が多く、家庭にいることが難しく、幼い頃は帰宅中に母の仕事が忙しい姿を目撃することが多かった。あの日、家族は「お母さんは休んでいる」と口を揃えて言った。
11月17日朝、激震が神戸を襲った。母の自宅に電話しても呼びかけ音が響くのみで、家族の元へ出かけた。交通がままならず、自衛隊やボランティアの協力を仰いだ。特に厳しい状況の中、正子さんは娘を精一杯励まし、一緒に踏ん張った。
その後、母の遺体は見つからなかったものの、「どこかで生きているかもしれない」との思いを優子さんは失ったことはなかった。現在でも母の思い出を噛みしめながら、毎年追悼の行事を欠かさず行っている。
震災から10年の月日が流れた今、優子さんは地域の復興活動にも積極的に参加し、これからの生活を一歩踏み出そうと奮闘中。母の教えを胸に、一人の女性として成長し続けている。
「母がいたから今の私がいる」と明言し、「強さと愛」を持ち続けて生きていくことを決意している。
この震災での出来事から学んだこと、そして再生への道に向けた優子さんの姿勢は、他の被災者にも希望を与えている。彼女の闘志は、多くの人に感動を呼び起こし続けている。