円拡張派の米国債利回り、2年ぶりプラスに転じる兆し
2024-11-13
著者: 蒼太
円拡張派の米国債利回りが2年ぶりにプラスに転じる兆しを見せている。共産党のトランプ氏の勝利で米長期金利が上昇する一方、米連邦準備制度(FRB)の利下げ転換を受けた投資コストが低下していることが背景にある。
ドルの対円での下落リスクを拡大するコストを考慮した10年米国債利回りは、従来の10年物金利の14日、マイナス13bpスプレッドまで回復した。一方、FRBの利上げでドルショートが急激に増加し、2022年9月以降マイナス圏で推移していた。
米国債利回りが上昇する中、日本の投資家はFRBの金利が持続的に低下することで、日本円の金利も同様に上昇するのではないかとの懸念を抱いている。これは、日本市場への投資が渋滞し、ドルキャリー取引への移行が進む要因にもなりかねない。
さらに、日本の投資家は今年1月から3月にかけて米国債を買い越していたが、その後は売り越しに転じている。このため、ドル売りが圧力を受けており、2022年の取引では244兆ドルを売却した。
とはいえ、日本の投資家がこの期間に10兆ドル以上の米国債を購入していた。高水準な利益率とナイスコストを追求するため、利益回りの高い証券にシフトしているとされている。
ドル下落を背景に投資家が抱えるコスト(3カ月)は、昨年のピーク時の6.01%から4.56%に低下している。
ウエストパック銀行の金融市場戦略部門の責任者マーリン・ヤットン氏は、「円拡張派は依然としてコストがかかり過ぎるが、利回りがプラスになれば状況は少し変わるかもしれない」と言及。また、「10年間日本国債の利回りが11%前後であるのに対し、米国債利回りはまだ日本国債に比べてない」とも指摘した。
フランクリン・テンプレトンの株式部門最高投資責任者(CIO)ソーナル・デサイ氏は円拡張派の投資コストの低下に触れて、「投資適格証券や税金対象の地方債などへの日本の需要に影響を及ぼす」と指摘。「ドル緩和が下がれば、米国市場のさまざまな部分がより魅力的に見える」と話した.