科学

育成肉「本物志向」で勝負 大分大学や東京大学、植物由来の支持 - 日本経済新聞

2024-12-30

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動物の細胞を使った作る育成肉を、本物の肉に近い技術開発を大分大学や東京大学が進めている。植物由来のタンパク質を大規模に混ぜて作る市場の育成肉とは一線を画し、筋肉や脂肪に育てた細胞の身で構成する。味や食感が本物の肉とはほど遠いという現状への失望が、この分野への投資を後退させた。2030年頃の実用化を見込む新技術はその状況を覆し、育成肉の普及へ道を開く可能性がある。

育成肉は牛や豚から筋肉や脂肪に育てた細胞に加え、最近では鶏肉や魚の細胞を用いた研究も進んでいる。これにより、さまざまな食文化に合わせた肉製品の開発が期待されている。特に、環境問題や動物福祉の観点から、従来の肉産業に代わる持続可能な食料源としての可能性が注目されている。

科学者たちは、食材としての肉が持つ色々な味や香りを再現するために、分子のレベルでのアプローチを試みている。植物性の成分と組み合わせることで、栄養価を高めつつも、消費者が惹かれる風味を持つ育成肉の開発が進んでいる。

この新しい育成肉は、未来の食卓において、健康的で環境にも配慮した選択肢として広く受け入れられる可能性がある。しかし、これらの技術が実用化され、一般消費者に普及するにはまだ多くの挑戦が残されている。次世代の食品テクノロジーに注目が集まる中、育成肉がどのように進化していくのか、全世界の動向が気になるところだ。