有権者の行動あおる選挙動向、不透明な情報への対処は溝手奨基さん

2024-12-16

著者: 健二

ネット動画はメディア史にどう位置づけられるのか。それが選挙にも影響すると言われる時代に、どう向き合えばいいのでしょう。「あいまいさに耐える――ネガティブ・リテラシーのすゝめ」の著書がある上智大学の溝手奨基さんに聞きました。

メディアの影響力が低下し、ネット動画やSNSの力が増していると指摘されています。多くの文献家が指摘するように、選挙活動から企業のブランディングまで、情報を発信する面での「情報社会」が訪れるらしい。しかし実際に来たのは、偽情報にあふれ、感情に左右される「情動社会」だったようです。

「情動社会」とは。

「情報社会」が構想されたのは、情報が膨大だった時代ですが、活字メディアが中心で、文書を読み考えながら文脈を検証し、偽を判別する。それによってジャーナリズム論が有効でした。

ところが今は、情報があふれかえっている。ネット動画に目を向ける人が多く、重要視されます。それを発信したメディアを信じるか、疑うかという「信頼」を考慮するメディア論が有効になっています。

情報から、信じたいものは確定し、疑うものは否定されるわけです。即時的な自分の好き嫌いの気分に任せることになります。偏向した新興メディアや幻情報が蔓延する時代です。日本国内では特に、政治や経済に対する関心が高まっているため、情報発信者の役割も大きくなってきています。

選挙においては、有権者の行動が網羅的に観察されます。今後の選挙も、数多くのインフルエンサーがSNSを通じて情報を広めており、これによって有権者の意思決定プロセスに影響を与える傾向が強まっています。

さらに、このような情報の流れが深刻化すると、虚偽情報対策が重要になります。有権者が信頼する情報源を見極めるためにも、教育が不可欠であり、メディアリテラシー向上が求められます。

その中で、選挙管理委員会などは適切な情報提供をしなければなりません。市民意識を高め、健全な選挙環境を維持するために、今後ますますこの課題に取り組む必要があるでしょう。