科学

銀河「NGC 922」の知られざる“尾”を捉えた!

2024-09-28

こちらは「いっかくじゅう座」の方向約4400万光年先の銀河「NGC 922」です。渦巻きのように、鮮やかな中心部分は銀河全体の中心から放たれたかのように見えます。この銀河の形状に見られるこれらの特徴は、観測されている状態から約3400万年前に、この地に存在した近くの小さな銀河「LEDA 3080368」と衝突した結果生じたのではないかと考えられています。

この画像はクリスのセロ・トロッロ天文台にある4m望遠鏡に設置された観測機器「ダークエネルギーカメラ(DECam)」の観測データをもとに作成されました。DECamはその名が示すように暗黒エネルギー研究を目的として開発された観測機器で、画素数は7425メガピクセル、最大14個分の広さ(3平方度)を一度に撮影することができます。初めの目的である暗黒エネルギー研究のための観測は2013年から2019年にかけて実施されました。

この画像は米国科学財団(NSF)の国立光学・赤外線天文学研究所(NOIRLab)によるもので、DECamによるNGC 922の新たな観測の成果、銀河同士の密接な相互作用について示しています。特に銀河の尾(tidal tail)が明らかになり、NGC 922とLEDA 3080368との相互作用により生じたという事実が示されています。

そして、この尾が伸びている方向はLEDA 3080368の軌道とは一致せず、観測結果はこの尾がNGC 922と衝突したことに起因する可能性を示唆しています。

これにより、NGC 922の複雑な構造を説明する新たな仮説として、別の銀河との相互作用を通じて多くの物質を失っていた小さな銀河と合体したことで生じた可能性が指摘されています。潮汐力によって生じたNGC 922の特異な特徴は、銀河同士の相互作用の後にどのように進化するかを解明する上で重要な研究対象となるでしょう。

最新の画像はNOIRLabの「今週の画像」として2024年7月25日に公開される予定です。天文学者たちはこの現象のメカニズムを掴むために、新たな研究の進展が期待されています。