熊本大学、パーキンソン病などの病態機序を解明
2024-11-07
著者: 花
G4を対象に神経変性を「未病」で防ぐ
熊本大学発生医学研究所の堤田誠教授、福田玲子教授及び森尾和子助教の研究グループは、神経変性疾患の一種であるパーキンソン病、レビー小体型認知症を含む進行性の神経変性疾患の発症機序を新たに解明しました。この研究は、特にαシヌクレインと呼ばれるタンパク質の蓄積との関連が強調されています。
研究によると、「αシヌクレイン」というタンパク質が細胞内に蓄積することが神経機能の障害を引き起こす原因であり、この蓄積のメカニズムを理解することで、神経変性疾患に対する新たな治療法の開発が期待されています。さらに、この研究は、パーキンソン病患者の脳を分析した結果、αシヌクレインの蓄積が患者の60%に見られたことを明らかにしました。
また、この研究グループはG4と呼ばれる新型のαシヌクレインが、パーキンソン病の発症に関与していることも示しており、細胞内のαシヌクレインの蓄積が神経機能に深刻な影響を及ぼす可能性があると認識されています。これにより、新たな治療手段や予防策につながる可能性が大いに示唆されています。
研究結果のポイント
- パーキンソン病などの神経変性疾患に関連するαシヌクレインの蓄積が重要であることが実証されました。
- αシヌクレインの蓄積を抑制する薬剤の開発に取り組むことが、神経変性疾患の治療に効果的である可能性が高まっています。
- G4の蓄積が神経機能の低下を引き起こす過程を詳細に解明し、未病状態での介入が有効であるとしています。
今後の展望
今回の研究は、「G4」が神経変性疾患の未病段階での発症を抑えられる可能性を示しており、特に神経変性疾患における予防的なアプローチに重点が置かれています。この研究を基に、さらなる治療法の研究や新薬の開発が進むことが期待されています。今後も熊本大学の研究に注目が集まることでしょう。
出典:Asamitsu et al. Science Advances 7, eabd9440. (2021)