健康

血糖値を下げる切り札は……コレステロールや血糖値、血圧を抑える一般薬

2025-01-01

著者: 裕美

コレステロールや血糖値、さらには高血圧をコントロールするための一般的な薬が、出血性の脳卒中(くも膜下出血)を減少させる可能性があることが、新たな研究で明らかになりました。この研究の筆頭著者であるユトレヒト大学医学センターのJos Kanning氏は、「このタイプの出血性の脳卒中は、脳梗塞など他のタイプの脳卒中よりも発症年齢が低く死亡リスクも高いため、その発症を予防する方法が急務である」と述べています。この研究の詳しい内容は、専門誌「Neurology」に2024年6月5日付で発表されました。

この研究では、SAIL(Secure Anonymised Information Linkage)データバンクを用い、2000年1月1日から2019年12月31日までに生じたくも膜下出血の例4989件、平均年齢61.4歳、女性61.2%を特定し、各症例に年齢、性別、データベース登録年を一致させ、無症状の症例を最大9件マッチさせました。

研究者は、患者に処方されていた主な薬剤(患者の2%以上に処方)を調べ、薬剤への曝露時期を、「現在(入院前3ヶ月以内)」「最近(入院の3〜12カ月前)」「過去(入院の1年以上前)」および「曝露歴なし」に分類しました。

対象者に処方されていた薬剤の種類は223種類に及びました。これらの中で2%以上の患者に処方されたのは205種類(10.1%)で、そのうちの9種類はくも膜下出血と有意に関連していました(5種類はリスク増加、4種類はリスク低下を示しました)。

リスクが示された薬剤は……

・高血圧薬のリシノプリル(37%のリスク低下)

・コレステロール低下薬のシンバスタチン(22%のリスク低下)

・糖尿病治療薬のメトホルミン(42%のリスク低下)

・前立腺肥大薬のタムスロシン(45%のリスク低下)

李克特(リスク増加が認められた薬剤)についての調査も行われましたが、その結果は以下の通りです。新たな研究が必要であるとも、Kanning氏は強調しています。

一方、同じ条件下でリスク増加が認められたのは、抗うつ剤のワルファリン、抗うつ薬(SNRI)であるセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬の使用や、精神神経用薬のプロクロンが4種類など、様々な感染症対策薬が関与していたことが分かりました。

Kanning氏は、「くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤に対する現行の外科的治療では、後遺症や死亡リスクが潜在的に高いため、非侵襲的な薬剤による脳動脈瘤の破裂を防ぐ方法は非常に有効である」と語り、今後の研究の重要性を訴えています。また、今後の研究で、くも膜下出血を引き起こす新たなリスク因子を明らかにすることが期待されています。これにより、必要な治療法の進展が見込まれ、それによって多くの命が救われる可能性があります。

(HealthDay News 2024年6月5日)

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