うつ病の女性は…心血管疾患発症しやすく!
2024-12-18
著者: 花
日本人400万人以上のデータを用いて、うつ病と心血管疾患(CVD)の関連を男性・女性別に調査する研究が行われた。その結果、男女ともに、うつ病の既往はCVD発症と有意に関連し、この関連は女性の方が強いことが明らかとなった。東京大学医学部附属病院の金子英俊氏らによる研究であり、「JACC: Asia」に2024年4月号に掲載される。
うつ病は、心筋梗塞、狭心症、脳卒中などのCVD発症リスク上昇と関連が示されている。うつ病がCVDに及ぼす影響について、性別による違いを調査する研究がこれまでにも行われているが、その明確なエビデンスは十分ではなかった。
研究者たちは、日本の外来・入院医療のレセプト情報データベース(JMDC Claims Database)より、2005年1月~2022年5月における健診データが利用できる18~75歳の人々のうち、うつ病や既往のある人931,720人(年齢中央値44歳、男性57%)を対象にした。
対象者のうち、うつ病の既往があった男性は9,739人(4.2%)、女性は7,358人(4.5%)だった。平均追跡期間は31日~1,001日(最短1日~最大5,534日)であり、CVDは男性577,084件(1万人年当たり発症738.1)、女性71,797件(同111.0)発症した。
なぜ女性が高リスクなのか?うつ病との関係において、年齢、BMI、高血圧、糖尿病、中性脂肪異常、喫煙、飲酒、運動不足の影響を統計学的に調整した結果、うつ病の既往のある女性は男性と比較して1.64(同1.59~1.70)、男性は1.39(95%信頼区間1.35~1.42)のリスクを示し、女性の方が有意に関連が認められた。
この研究から、うつ病の影響を受けやすいとされる女性において、CVDリスクが特に増大することが示唆されている。専門家は、今後さらなる研究を進める必要があると述べており、うつ病と心血管疾患との関連性について深く探求することが、両者の理解と対策のために不可欠であると強調している。彼らは「うつ病とCVDの関連について性差をよく理解し、うつ病の女性に対して最適なケアを提供することが心血管の健康に寄与する可能性がある」と結論づけている。
(HealthDay News 2024年6月3日)
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