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「トランプ円安」足音 ドル安誘導の持論封印か 生田圭司 - 日本経済新聞

2025-01-21

著者: 健二

ついに劇場の開幕だ。トランプ氏の米大統領職を受け、21日の東京外為市場で対ドルの円相場は急高下した。朝方に上昇していたものの、メキシコやカナダへの関税引き上げに関する見解が伝わると、一転して急落した。就任前からの不透明感が拭えず、市場参加者はさらに円安・ドル高の進行を警戒している。

午前9時50分ごろ、ある国内銀行のディーリングルームではドル買いの注文が相次いだ。トランプ氏がカナダとメキシコとの貿易に焦点を当てるとの報道が駆け巡る中、米国の製造業の回復期待が高まり、ドルに資金が流入した。

一方で、トランプ政権の初動を受けた市場の反応には強い影響を及ぼす不安定要因が依然として存在する。トランプ氏が為替政策に一貫性を持たないとの指摘もあり、今後の展開が注視される。企業の関係者は、ドル安誘導に関する発言がいつ出るのか、過敏に反応している。

また、各国の中央銀行が通貨安に対してどのような政策を取るかも焦点になる。特に日本銀行は進展のあった円安を受けて警戒を強める可能性があり、為替市場全体の動向に大きな影響を及ぼすことが考えられる。今後の市場の動向に目が離せない状況だ。

トランプ氏の影響力がどの程度まで及ぶか、世界経済に与える影響がどうなるか、引き続き注視していく必要がある。注目は、彼が掲げるアメリカファースト政策が為替市場にどのような波紋を呼ぶかである。これまでの流動的な市場の状況を背景に、動きはさらに活発化することが予想される。トランプ氏による米国の外交政策、経済政策には、常に目が離せない。