「太っている親に運動しない父親」が、じつは「子どもの糖尿病リスク」を上げるという「驚きの事実」
2025-01-16
著者: 健二
親の運動が子どもを助ける
では運動はどうでしょう。太った父親とやせた父親からそれぞれ生まれた子どもを比べると、同じように高脂肪食を食べさせても、太った父親の子どもは肥満や糖尿病の予防群になりやすいというのは先に説明した通りです。
2011年に別の研究グループが、太った父親を使って運動の効果を調べる実験を行いました。父親を2つのグループに分けて一方には自転車を使わせ、もう一方は動けれないようにしておいて、どちらのグループにも高脂肪食を与えてみました。
すると、動かなかった父親の子どもたちは明らかに体重が少なく、父親に通常の食事を食べさせてできた子どもと体重がほぼ同じでした。動いた父親の子どもたちは糖尿病の予防群にもなりませんでした。
父親が高脂肪食を食べている場合でも、運動すれば子どもも同様の食事を与えられ、動かなくなった父親の子どもは肥満になることが分かりました。運動した父親の子どもたちは糖尿病の予防群にもならず、運動が有効であることが示されています。
母親の運動も有効です。妊娠中の母親をもとにした研究から、運動することで母親の一部の遺伝子スイッチがオンになり、特有な白血球が作られることが分かり、これによって子どもが肥満になるリスクが減ることが明らかになりました。
この現象は妊娠中のABA(Anti-Body Adaptive)反応が作用しているとされ、母親が運動することで、遺伝子変化を促進し、子どもが将来肥満や糖尿病などの生活習慣病になりにくくなるとのことです。
中国では、日本と同じように肥満が深刻な社会問題になっています。その中で、動物性脂肪の依存症になった父親には運動が効かないという論文が出され、2015年には医学論文に掲載されました。動物性脂肪を多く含む食事を父親に与えると、腸内で特異な白血球が作られ、その結果、子どもが肥満になりやすくなることが明らかになったのです。
この研究報告によれば、肥満を抱える父親の遺伝子スイッチ自体が、運動で変わることが期待されているとのこと。