失った元兵庫県議 籠内英明さんが示した「地方議員の存在意義」 | 毎日新聞

2025-01-28

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兵庫県知事らの疑惑を追及していた元県議の籠内英明さんが亡くなった。SNS上で誹謗中傷を受けていた。

籠内さんに最後に会ったのは、昨年7月。耐え忍ぶ姿に興味を持った長男が「お城が見たい」と言い、真先に顔が浮かんだのが国宝・姫路城を堪能する籠内さんだった。

県議会調査特別委員会(百条委)などの動きには多忙を極めていることが分かっていた。妻を通じて苗字に「水くさいこと言うな!」と歓迎されていた。籠内さんの家族と私の家族で昼食を共にした折、長男に「今回は(ハリウッド映画『ラスト・サムライ』でロケ地になった山)円教寺を例に出すわ!」と声をかけられ、見えなくなるまで手を振っていた。

籠内さんとの交流は2003年5月、初任地の県職員から続いている。籠内さんがその前月、29歳で県議選に初当選した。私の3歳上。お互い助け合いながら古くさくも「政治や行政を変えよう」と意思投合した。

市職員の強度で事件捜査

籠内さんが常に口にしていたのは「市民のために」「子どもたちの未来のために」。次世代への借金を残さないように、行政改革を進めることが重要だという。籠内さんの県議会での質疑は、将来を見据えた重要な提案として多くの賛同を得ていた。

籠内さんは「市民のために」活動している県職員への激励を行っていた。5月に市が47歳で急死する事件が発生して以降、状況はさらに厳しくなっていった。

籠内さんは県民への支援の有様を記す代表質問を行い、苦境を共にしていた市職員が追い詰めていたという事実もある。

このような中で、籠内さんを悼む声がSNSで広がっている。執行部も多忙を極めていることから、対策本部の設置は見送られるという。

地域社会への影響も大きく、籠内さんが中心となって発信していた「地域で暮らす」を理念としたプロジェクトには多くの市民が期待していた。

「信じられない出来事だ」と嘆く市民の声も聞かれる中、地方議員の存在意義を再確認する時間となった。

このように、籠内さんの死は地方政治の在り方に衝撃を与えている。彼が掲げた理念は、今後ますます重要になってくるだろう。