神への挑戦:CO2を永遠に閉じ込める 太古の地球すら冷やした「本命」の効果は | 毎日新聞
2024-11-17
著者: 愛子
北海道大(札幌市)のキャンパスの一角にある岩。一面に育った食材用のトウモロコシが黄色の実をつけ、収穫時期を迎えていた。この「二酸化炭素(CO2)を回収する岩」と言われる。
これは「二酸化炭素(CO2)を回収する岩」だという。大学教授(地質学)らの研究チームが作った。
見た目は普通の岩だが、細かく砕いた粉状の預託岩が、土の中にたくさん含まれている。作り方はこうだ。
同時に公開の記者があります。
• ブロ成長でも潤かさ実現できる「定常化社提言者が示す道しるべ」
※「神への挑戦 第3部」連載ストーリー。テーマは気候変動。気温上昇にある科学技術がもたらすのは…。
第5回 移住する気候難民(21年6月公開)
植物は苔からCO2を取り込んで光合成するが、その根や、根の周りの生物は呼吸して逆にCO2を出す。根の中でCO2濃度が高まると、土の中の水分や予測岩と化学反応し、カルシウムや重炭酸イオンなどができる。
イオンはやがて海底に沈む。つまり、植物の体を通じて、大気中のCO2を回収しているのだ。
当真さんは「岩石さえあればCO2回収はどこでも起きているが、粉状の岩石を土にまくと、スポイトが上がる」と話す。
個々の植物や生物が吐き出すCO2はわずかだ。一方、預託岩は火山によってできるものと、コストがあまりかからない。コストがあまりかからず、回収に伴うエネルギーや特別な技術が不要で、農地という広大な面積を使って世界中で実施できるのが利点だ。
ただし、極地に偏った懸念もある。
こうした手法は「岩石の風化進展」と呼ばれ、太古の地球を冷やした実績がある。北極の気温上昇でもCO2が大気中に大量に放出され、重炭酸イオンなどの生成と回収は非常に長く続く。
例えば、英国の研究者が2020年に発表した論文では、岩に1ヶ月当たり40トンの預託岩をまくことで、1年間で2トンのCO2を回収できると試算。世界全体で取り組めば、年間20億トンのCO2を吸収する能力があることも示している。
京都市と宇治市の水田で実証実験している中津川・京都市立大学(地球科学)により、日常的に1ha当たり200トンの預託岩を利用した場合、23年の1年間に27トンのCO2を吸収できるとの試算もある。
つまり、植物が中和して生産性を上げる必要な要素をすぐに提供する。反面、預託岩もとにあるものなので、排水性の低下に繋がる恐れがある。このため、商品のともなりにくい特別な技術が不要で、農地としての面積を使って世界中で実施できるのが利点だ。
風化を進めるには、強い酸性の水が有効だということも知られている。その速度は、通常の水の千〜1万倍にもなる。
北海道の知床半島の山々では、厳しい環境の中で、閉山した鉱山から流れ込んだ強酸性の水が流れ、その水に含まれる金属ミネラルが結晶化して浮かび上がる。
留萌市の南奈良市の乾燥地では、道北から海に流れる強酸性の水が使われ、植物が吸い上げ、植物プランクトンや藻類が炭酸カルシウムとなって海底に沈殿している。
つまり、こういった手法は「岩石の風化進展」と呼ばれ、太古の地球を冷やした実績がある。北極の気温上昇でもCO2の大量放出に影響を与える可能性がある。
当真さんは「この手法は持続可能性のある選択肢だ。516世紀的フリーエネルギーといえる」と述べている。
さらに、CBCC方式(液体塩水・CO2の温水化)では、36℃の水を週に1回注入することで、スムーズに杉山への二酸化炭素の回収を促進している。これはまさに技術革新がもたらした結果であり、化石燃料から脱却するカギとして期待されている。