ビジネス

三菱電機、パワーハイブリッドの国内再編は必須 - 複数社との協議も

2024-12-12

著者: 芽依

三菱電機の社長は、国内トップの三菱電機が海外勢に大きく後れをとる現状について、グローバル競争に勝つためには業界再編が必要になるとの見解を示した。

現在、危機感を抱えているのは日本勢が多すぎるためで、英調査会社オムディアによると、2023年の出荷高シェアで三菱電機が5.5%、独インフィニオンテクノロジーズが22.8%、米オン・セミコンダクターは11.2%を占めている。

社長はまた、「日本の中に競合他社が多すぎる」ため、シェア拡大が望めるはずがないとの考えを述べ、12月のインタビューで語った。パワーハイブリッドに関しても技術革新が不可欠であり、「われわれが各社と競うのではなく、一体となることを志向している」と持論を展開した。

電気自動車(EV)などに使われるパワーハイブリッドは、中国の自動車メーカーがのびのびと生産を伸ばしており、各社が開発に注力している。政府が原則事業規模2000億円以上の投資に助成金を交付する制度を整備したこともあり、企業との提携が進み始めた。昨年12月には東芝とロームが共同生産(事業総額3883億円)を決めたのに続き、11月には電源と富士電機も製造連携(同2116億円)を発表した。

社長はすでに複数社の統合の可能性と、業務レベルの議論になると「なかなか前に進まないのが現状」であると言った。共同での開発や販売まで踏み込む必要性を問うと、「実際そうしていかなければ勝てないと思う」と述べた。

パワーハイブリッドは三菱電機が提案する重点成長業種の一つで、セミコンダクター、デバイス業務の今期業績利益計画は前期比で12%増の360億円を見込む。熊本県内に8インチウエハーの生産工場を前倒しで整備しているほか、SIC基板メーカーの米コレントに出資し、高付加価値商品の共同開発にも取り組む。

DA人材

同社は5月、空調機器やFA機器、電力機器など様々なハードウエアから得られるデータを横断的に分析、連携することで新たなソリューションを提供する事業を強化することを明らかにした。30年度のDA人材は23年度比で13倍超と大幅増になる見込み。

人材確保には、教育や中途採用など様々な施策を打つが、「それだけでは追いつかない」ため、購入も視野に入れる。16年に7400億円でイタリアのエンジニアリングの大手を買収したのが同社にとって過去最大案件だ。社長は「1兆円も2兆円も出して買うつもりはない」が、「必要あれば数千億円規模でも検討する」と、戦略の進展があれば資金を投下する意義を示唆した.