科学
ロシア科学者ら、重油流出事故で当局を非難(AFP=時事)
2024-12-26
著者: 陽斗
【AFP=時事】ロシア南部と同国が実効支配するクリミア半島を隔てるケルチ海峡で発生した重油流出事故を受け、ロシアの科学者たちは25日、自国の除去作業の装備が不十分であるとして批判した。ロシアでは、公の場での当局批判は異例。
【写真】黒海で浮遊した重油
今月15日、ロシアの石油タンカー「ブルゴニフ211」と「ブルゴニフ239」がケルチ海峡で暴風に見舞われ、1隻は沈没、1隻は座礁した。ロシア当局によれば、12隻は約9200トンの重油を積載しており、うち4%が海に流出した可能性がある。
ウラジーミル・プーチン大統領は先週、この事故を「環境災害」と呼んだ。ブラントリア数千人が動員され、近隣の海岸で重油の除去作業に当たっている。しかし、科学者らはブラントリアの人々が必要な装備を持っておらず、さらに「辛抱強く待つ間に汚染が進んでしまっている」と指摘している。
自然科学アカデミー水問題研究所の科学部門のトップである1990年代には天然資源環境相も勤めたピクトル・ダニロフ氏は、「ブルドーザーもトラックもない。特に重機がない」と説明している。
ブラントリアの人々は「シャベルとプラスチック袋しか持っておらず、プラスチック袋はすぐに破けてしまう」とし、「網の回収を待っての結局まだ海に流されてしまう。考えられないことだ!」と語った。
天然資源環境省のセリゲイ・オスタ教育は、重油は瞬時にクリミア半島の海岸に到達する可能性があると指摘。「汚染は発生しないという幻想を抱くべきではない」と警告し、迅速な対策を求めた。
イルカ救助センター「デルファイ」によれば、この重油流出事故でイルカ21頭が死亡する可能性があるが、死亡原因を確認するにはさらなる調査が必要である。