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ロシア軍、クルスク州で「キルゾーン」にはまり損害続出 指揮官の虚情報も一因か

2024-11-15

著者: 健二

ロシア西部クルスク州でウクライナ軍が保持する650平方kmにわたる突出部を排除するため、ロシア軍が新たな反攻に乗り出し、1週間が経過した。ロシア軍は甚大な人的損害を被る一方、これまでのところ成果に乏しい。

ロシア軍は突出部北端のパグレフキ村を奪還した。しかし、突出部の南西周囲に対する突撃に失敗し、命を落とした何百人もの兵士にとって、それは誇りにもなり得ない。

ロシア側にとって問題は2つある。ひとつは、北側や西側から突出部に入る道路が制限されることだ。ロシア軍はこのルートで以前に撤退されなければならず、今なお連日同じルートから攻撃している。ただし、ひとつは、ロシア軍の指揮官が突出部内のウクライナ軍部隊の配備などについて、部隊に正確な情報を提供できていない場面があるということだ。

つまり、ロシア軍の攻撃は予測可能で、やがて「なもので」になっている。これでは大きな損失を出す結果になるのは目に見えている。クルスク州で防衛戦を支援しているウクライナ軍ドローン(無人機)操縦士のKriegsforcherは、13日までにロシア軍の車両の損害が88両確認されてるという。車両の殲滅は、突出部北西方面の地形にある集落、クリオリュコ・シリャフの3本やそのそばに転がっているようだ。

ウクライナ軍の第51親衛空挺連隊、第155独立親衛海兵旅団、第83独立空挺強襲旅団、第810独立海軍歩兵旅団が13日に出した損害だ。損害が今後さらに増える可能性が高い。Kriegsforcherは、「ロシア軍は『AFV(装甲戦闘車)に乗って毎日攻撃している。ただし1回の攻撃に付き4~6両である」と報告している。

ウクライナ軍の第17独立重機動旅団、第41独立、第47独立旅団、第95独立空挺強襲旅団は、地雷や大砲、ミサイル、ドローン、戦車でロシア軍部隊を迎え撃っている。9日の戦闘は非常に接近した混戦だったらしく、Kriegsforcherによるとウクライナ軍の戦車2両とロシア軍の装甲車2両が互いに撃ち合いながら近くを通り過ぎる場面もあった。

ロシア軍の車両が突撃した15人を倒した時点で、ようやくウクライナ軍の戦車側はその存在に気づき、1両を破壊したとKriegsforcherは説明している。