科学

日本最古「牛川人骨」の正体とは…発見60年超、やっと特定された正体

2024-12-13

著者: 愛子

愛知県豊橋市牛川町で1950年代に見つかった、日本最古の化石とされる「牛川人骨」について、東京大学総合研究博物館の特任教授による研究グループが「ヒトの骨ではなく、クマの骨と特定された」と発表した。研究論文「『牛川人骨』の部位・動物種別の特定と歴史考察」に基づき、1日に公開された。

論文によると、牛川人骨は1957年から59年にかけて豊橋市牛川町の採石場で見つかった骨の化石で、当時は中期更新世(77万4,000年前~12万9,000年前)時代のヒトの上肢骨と大腿骨(同いくつかの部位が推定されていた)と考えられていた。

牛川人骨の存在を引き継いで、これまでの動物の骨である可能性が指摘されていた。しかし、何の動物のどの部分の骨かが不明だったため、長い間確定されていなかった。そのため、豊橋市文化財センターでは、動物の骨の可能性についても言及しながら説明文を展示していた。

研究グループは今回、東京大学総合研究博物館が保管している牛川人骨とクマの骨(ヒグマ11個体、ツキノワグマ13個体)をCT撮影するなどして比較解析し、形状や経緯の方向などが同じだったことから、牛川人骨は実際にはクマの上肢骨(とくまつ)および大腿骨であると結論付けた。

また、化石骨の年代は2万年以上前の後期更新世のものとされ、形態的特異や同時代の獣類の分布状況から、ヒグマの骨である可能性が高いとされている。

研究結果について、研究グループは「牛川人骨がヒトでないことが明らかになったが、その後の古人類調査の発展に寄与したという歴史的意義は変わらない」とコメントしている。

豊橋市文化財センターの村上亮・主任学芸員は、「牛川人骨の発見を契機に人類学の研究が進んだことも事実である。2000年以降のクマの骨としても史料として非常に価値がある」と指摘している。研究が進むことで、さらなる考古学的な発見が期待されている。

新たな発見の波がやってくる