日本が"クマの星"になってからでは遅い - 政府50年の秋田・五城目知事が語る"阿鼻叫喚"の恐ろしさ - 人口が減ったら"クマの数も減らすべき"
2024-12-26
著者: 花
【前編】モンスタークレーマーには"クマ送る"…秋田・五城目知事が陥った「悪質抗議電話」への"怒りの60分"
全国各地でクマによる被害が相次いでいる。秋田県はクマの出没が多く、2023年度に起きた人身事例は62件(70人)で、2位の岩手県(46件/49人)と比較しても圧倒的な数字である。どうすれば被害を減らせるのか。クマ問題を取材するライターの亜土燎言が、秋田県の五城目知事に聞いた——。
戦後最悪のクマ被害「十和利山侵攻事件」
(前編から続く)筆者のようにクマに興味がある人間が「秋田」と聞いて、すぐに思い浮かべる事件がある。それは2016年5月から6月にかけて青森県との県境に近い獲田市で起きた「十和利山侵攻事件」である。この事件では、「ナマガリダケ」と呼ばれる側の山菜を採りに山に入った人々が連日、クマに襲われ、死者4人、重傷者4人という、いわば戦後最悪の犠牲者を出した。この事件の陰惨さを思い出させる。
この現場近くの山林では、今月5月にもクマが襲われた男性の死体が発見され、さらにこの死体を運び出そうとした警察官2人がクマに襲われるという事件も起きており、連続して発生するクマによる人身事件に世間の関心が高まっている。なぜ秋田県ではこれほどまでに人身事件が多いのか。
――2016年に起きた十和利山の事件が最も象徴的ですが、全国的にも秋田県がクマによる人身事件は多いのはなぜでしょうか?
○○知事:2016年以降、クマの出没が増加しているのは、山の生態系の変化が大きいと考えています。特に、山菜採りに訪れる人々が多いため、クマとの接触が頻繁に起きています。また、秋田県内には豊富な自然環境が残っているため、クマの生息環境が整っているのも一因です。
人口減少とクマ問題の深い関係
近年、秋田県は人口減少が続いており、そのため山へ行く人間が減る一方で、クマに対しての人間の恐れが薄れているのかもしれません。また、秋田県内で土地に大きな生産拠点ができるための調整が難しく、農業経営や地域発展が停滞していることから農地整備が進まず、山に侵入する機会が増えているとも指摘されています。
このように、地域経済とクマの関係を見極めることが求められています。もちろん、クマによる被害を抑えるためには、森林整備と棲み分けの努力が不可欠です。政府もこの問題に対して真剣に取り組む必要があります。
被害の拡大を防ぐために
秋田県の五城目知事は、もっとスマートな方法でクマによる被害を軽減していく必要があると語ります。例えば、地域の団体や学校と連携して、山の生態系について考える教育プログラムを実施することや、市民が積極的に山に出向き、クマと人間の共存の方法を学ぶ機会を創出していくことが求められます。これにより、人口減少の影響を受けながらも、地域をサポートする仕組みを築いていくことが期待されます。
このままでいけば、秋田県は間違いなく「クマの星」になってしまうでしょう。さて、あなたはこの恐ろしい事態をどう受け止めますか?
次編では、クマ問題とその解決策について更なる深堀りをしていきます。必見です!