健康

認知症患者の生活改善77%が症状安定 米国

2025-01-03

著者: 健二

食事や運動などの健康的な生活習慣を組み合わせて取り入れることが、軽度認知障害(MCI)や初期の認知症の患者の認知機能維持に役立つことが、米国の非営利団体である予防医学研究所(Preventive Medicine Research Institute)所長のディーン・オーニッシュ博士らによって行われたランダム化比較試験(RCT)で示された。このRCTでは、健康的な食事、定期的な運動、ストレス管理、瞑想などを組み合わせた生活習慣改善プログラムを受けた患者の71%が認知症の症状が安定しているか、または薬物を使用せずに改善したことが報告されている。

この研究では、471名のMCIまたは初期のアルツハイマー型認知症の患者が、生活習慣を改善するプログラムを参加し、健康的な食生活、週に3回以上の運動、低強度のストレッチ、呼吸法、ストレス管理の技術などが含まれたプログラムに取り組んだ。これにより、参加者の68%が症状の悪化が認められた。

研究の詳細は「Alzheimer’s Research and Therapy」に6月7日付で掲載された。オーニッシュ博士は「生活習慣の改善が認知症やアルツハイマー型認知症の進行に影響を与えることを示した研究は、これが初めてである」と述べている。

また、同研究では参加者の健康的な生活習慣改善プログラムの効果を測定するための指標として、以下の4つの要素が強調された。1)有害な脂肪や精製された穀物、甘味料の摂取を減らし、野菜や果物、魚などを中心とした食事 2)週に3回以上の有酸素運動 3)ストレッチや瞑想によるストレッ 4)参加者の日常の活動量の増加。

オーニッシュ博士は「今回のRCTの結果は、非常に鼓舞されるものであり、危機的な状況にある多くの人々に新たな希望をもたらすものだ」とも付け加えている。健康的な生活習慣が認知症予防だけでなく、既に症状が現れている患者の生活の質を向上させる可能性が高まったことで、多くの専門家から注目されている。

この研究は、限られたリソースの中で認知症予防・改善に取り組もうとする医療機関や団体にとって、大変重要な示唆を与えるものである。今後の研究が、より多くの人々に利益をもたらすことが期待されている。