「レールガン」研究の進展、搭載予定が発表 - “弾丸の安定した飛行”に成功!電源の小型化も探求中
2024-11-13
著者: 陽斗
防衛装備庁は11月13日、電磁気力で物体を打ち出す装置「レールガン」の最新の研究動向を発表した。同日開催されたイベント「防衛装備庁技術シンポジウム2024」でもレールガン研究の近況を説明した。
レールガンは、電気エネルギーを利用して弾丸を発射する最前線の技術。従来の戦車砲の発射初速が1750m/sであるのに対し、レールガンであれば2500m/s以上の初速で発射できるという。この技術により、弾道がより正確になり、出力を調整することで弾丸の飛行特性をあらゆる環境で最適化できる。また、レールガンの弾丸サイズが小さいため、探知や迎撃が難しいという特性もあり、軍事力の向上に寄与する。
この技術の研究では、弾丸の初速の安定性を確保すること、弾丸を発射する際の弾身の安全を確認することが重要な課題として挙げられた。2022年度からは、連射機構の構築や発射した弾丸の安定した飛行に関する技術の確立に取り組んできた。この技術の進展により、従来の弾薬よりも効果的に動作することが期待されている。
2023年9月から10月の実験では、これまでの研究を基に、弾丸発射後の安定性を重視した新たな弾体を使用した結果、弾丸は発射後も安定して飛行することを確認した。また、構造物に対する出力も確保できた。同庁は今後、弾体の設計や弾道計算のシミュレーションに反映させる方針だ。
電源の小型化では、今後の軍事活動において電力供給の柔軟性を向上させることを目指している。大型電流を利用した技術により、今後も高い電流出力が可能となる。また、次世代の電源として動力源の改良が検討されており、特に使用される材料の技術革新が重要視されている。
この他にも、レールガンの電源では大電流・高電圧を扱うことが求められ、耐久性の高い「パワー半導体」と呼ばれる技術の採用が進んでいる。次世代のレールガンシステムには、より高い電力を供給しつつ、コストを抑えつつ使えることが期待されている。
今後の研究では、レールガンを用いた様々な新技術の開発が予定されており、自衛隊の装備更新に向けた布石が進められる見込みだ。