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前首相が導入した「年齢の壁」対策 1年で利用は推計の半分以下

2024-11-13

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年齢106万円の壁と支援強化パッケージ

パートや短時間労働者に社会保障料の負担が生じる「年齢106万円の壁」を巡り、昨年10月に厚生労働省が始めた支援強化パッケージの利用申請数は9月末時点で約28万7000人で、目標の60万人の半数以下にとどまっている。政府の推計(最大60万人)では、労働力不足解消や賃上げに向けて高齢者の働き先として利用が生じていると言えそうだが、実際の利用は目標に達していない。このため、パートなどの担い手となり得る「第3号被保険者」には、主に51人以上の企業で働き、年齢106万円を超えると社会保障料が生じるため働き先を失わぬよう支援強化パッケージを打ち出した。

具体的な取り組み

新規雇用を減少させるように、厚生労働省は働き時間を増やして年齢106万円を超えても手取りが減らないように支援強化パッケージを打ち出した。具体的には、厚生年金や健康保険に加入するパート勤務者の社会保障料負担を抑え、手取りを減らないようにする。賃上げを条件に、1人当たり最大50万円の助成金を企業に出す。

現状と課題

9月末時点で、1万6535社で約28万7000人の利用が計画されている。来年度までの時限的な措置で、昨年度は5万9000人、今年度は11万9000人、来年度は10万7000人がパートを利用し、年齢の壁を超えて働く予定だ。しかし、パートを導入する企業からは「使い勝手が悪い」との声が上がっている。対象者への資金支援や保障料を減らす手当の要件が厳しく、"パートを使う人だけ時給アップするというやり方は公平性の観点から難しい"(大手スーパー関係者)との批判が多い。

今後の方向性

経済同友会の調査でも利用が進まない理由として「従業員間で不公平が生じることへの忌避」が指摘されており、見直しが求められている。厚生労働省は時限措置の方針を維持しつつも、利用者の声に耳を傾けて改善策を進める考えだ。