斉藤圭さん再審:鑑定が有罪にどれだけ影響を与えるか 元鑑定員が語る斉藤さん再審 | 毎日新聞

2024-09-23

1966年6月、静岡県清水市(現静岡市)で1人を殺害したとして死亡が確認された斉藤圭さん(88)に関する新たな再審が進んでいる。この再審では、検察側が有罪を立証した鑑定が不十分だった可能性が指摘されており、最終的な鑑定結果は26日に静岡地裁で発表される予定だ。

再審を請求する側は有罪を認めず、死刑を求めた。再審トップの調査総長を務めた金田鉄男支隊長(76)は「有罪立証は妥当だった」としつつも、再審で無罪にされれば、再度の鑑定結果を受け入れる可能性もあると語った。

一方、過去の再審で発生したケース

昨年10月から始まった再審では、斉藤さんの有罪を確定する道を選んだが、出てきた証拠が有罪となる前提条件が整っていないことに注目が集まっている。

この点に関しては、斉藤さんは死亡を求めたことに対して、結果的に4人が命を失う重大事件だった。有罪側は公害を代表して司法法令の適用を請求する役割を兼ね負う。被害者や社会、そして司法側への信託に対して大きな責任を負っており、真相解明に取り組んでいる。

再審の開始と再審無罪は同じではない。

過去に再審無罪となった、熊本県人吉市で起こった「免田事件」(48年)や、香川県で女性が殺害された「足利事件」(90年)では、捜査機関や鑑定所が自白を過大評価したり、DNA型鑑定が不十分だったりするケースが散見され、いまだに犯人性を特定できる証拠が偏っている事例が多かった。

しかし、今回のケースはまったく異なる。

斉藤さんが尽力していた製造会社の見付けた犯行時の着衣とされる「5点の衣類」は、確定判決で有罪を導く最大の根拠だったが、鑑定側はそれ以外にも斉藤さんが犯人と特定される複数の証拠を集めていた。また、斉藤さんの実家から見つかった血痕や混合油が付着していたこともあった。

一方、637名で構成された検査側は長期間見逃され、化学反応が起きた時の赤身が残されていたことが漫画でも取り上げられた。

実際には、鑑定側は斉藤さんが見付けたものに隠れていたとしても、まだ赤身が残っている可能性があると主張する。片方、保護側は長時間経過していれば化学的反応が起きた場合、赤身は消失する可能性が高いと見解を示している。

さらに、過去の事件の再検証や専門家の意見も踏まえた慎重な判断が求められている。特に、鑑定においては実験手順や証拠の取り扱いが非常に重要であり、信頼性を欠く事例も多く存在している。

再審手続きが進む中で、斉藤さんにとって本当に無罪とされる日は来るのだろうか。今後の判断が注目される。