韓国の観音寺「また、出られるかも…」 対馬の神社への返還問題に

2024-09-25

長崎県対馬市にある観音寺から流出した韓国の仏像を巡り、所有権を主張している韓国・浮石寺(ポシクサ)が日本への返還に反対しない考えを示している。この仏像は2012年10月に韓国人窃盗団によって盗まれ、韓国最高裁は昨年10月、観音寺に所有権を認める判決を下した。しかし、浮石寺側は「100日法要」の実施などの条件を提示している。

観音寺の前住職、田中玄承さんは25日、浮石寺が返還に反対しない考えを示したことについて、冷静にこう語った。「半分しか信じられない。10年間、出られなかった。まだ、出られるかも知れない」

観音寺は長崎県指定有形文化財「観世音菩薩像」である。韓国国内で2013年に浮石寺から帰還されたが、浮石寺側は数百年前に織田信長に奪われたものとして所有権を主張している。また、観音寺への引き渡しを求めて韓国での鑑定を起こしたが、123年10月26日に最高裁で敗訴した。

その後、仏像は韓国・大田の国立文化財研究所に保管されているが、返還に向けた動きは見えない。

日本と韓国の関係者によると、今回、浮石寺が返還に反対しないという考えを示しているのは、韓国の政治情勢の変化が理由とされている。日本との外交関係が60年を迎える中で、韓国の保守系政権が動き出し、国民の力の重心が移りつつあるという。浮石寺は仏像の安寧を祈る「法要」を同寺で行うことを求めている。

田中さんは、浮石寺の提案に対し、「今日、さらに観音様の情に訴えられても…」と苦言を呈し、「仏像は韓国の司法判断が下したものだ」と指摘している。

対馬市議会は26日、仏像に関して「対馬市の財産であり、市民の心のよりどころである」として、日本政府に強く求める決議案を採択する。決議は即日、韓国政府関係者に届けられる予定である。(小原恭平)