健康

脳卒中を経験した人は「睡眠パターン」が変わるって本当?

2024-09-29

脳卒中後に睡眠パターンが変わるのか?

一般的な睡眠時間は6~8時間と考えられていますが、脳卒中生存者の中でこの健康的な睡眠時間を維持できている人は半数以下という新たな研究で明らかになりました。

この研究では、脳卒中の既往がある人がどれほど一般的な睡眠時間を維持しているか、または短くなっているかのデータが示されました。アメリカのデューク大学医学部のSara Hassani氏によるこの研究は、「Neurology」に2023年11月9日付で発表されました。

Hassani氏は、「適切な睡眠時間は、理論的な脳と心臓の健康に不可欠であると考えられています。長過ぎたり短過ぎる睡眠は、脳卒中後の回復に影響し、生活の質(QOL)を低下させる可能性がある」と述べています。この研究結果を受けて、脳卒中の既往がある人が睡眠問題を抱えていないか調査し、問題がある人の睡眠習慣を改善する方法を検討する必要があると主張しています。

研究の方法

この研究では、米国国民健康栄養調査(NHANES)から2005年から2018年までのデータを用い、18歳以上の成人37,559人を対象に、どの程度一般的な睡眠時間を維持しているかを分析しました。対象者の中で脳卒中を経験したことがある人は1,572人でした。

対象者は2年おきに、ウィークデイと週末の夜間の睡眠時間に関する報告を求められました。その報告の内容に基づき、睡眠時間を「短い」(6時間未満)、「正常」(6~8時間)、および「長い」(8時間超)の3つのカテゴリーに分類しました。

結果と考察

その結果、3つの年齢層(18~44歳、45~64歳、65歳以上)に分け、脳卒中の既往がある人とない人を比較しました。正常な睡眠時間を維持している人は少なく、特にその割合は18~44歳で32%、45~64歳で47%、65歳以上で45%でした。

年齢や体重、高血圧などの要因が睡眠に与える影響を考慮して分析した結果、脳卒中の既往がない人に比べて、睡眠時間が8時間超であることを報告する可能性が54%(オッズ比1.54, 95%信頼区間1.22~1.94)、6時間未満であることを報告する可能性が50%(オッズ比1.50, 95%信頼区間1.21~1.85)であることが示されました。

Hassani氏は「過去の研究では、脳卒中が睡眠障害、特に睡眠時無呼吸と関連付けられている。脳卒中の既往がある人には、不眠症や過度の睡眠といった症状がよく見られるが、それにより影響を受ける可能性がある」と述べています。

今後の研究の必要性

今後の研究では、脳卒中と睡眠時間の関連をさらに調査し、睡眠時間が脳卒中後の回復にどのように影響を与えるかを明らかにする必要があるとしています。健康的な睡眠習慣を取り戻すことが、脳卒中生存者にとって重要であることが強調されています。