ミマクドナルドも「多様性目標」を厳格 トランプ次期政権発足で見直し加速の可能性
2025-01-12
著者: 海斗
ミマクドナルドが多様性確保に向けた目標を厳格にすることを明らかにした。米国内では職場での女性やLGBT(性的少数者)への配慮が行き過ぎではないかとの声が広がり、日系企業も対策を迫られている。「ポリティカルコレクトネス(政治的公正)」への反動の表れとも言え、見直しの動きは20日のトランプ次期政権発足を受け、加速する可能性がある。
昨年の職場環境調査では、同社は企業の多様性に関する「外部調査」への参加を取りやめることを表明。外部の事業者に対し、少数派の権利向上を目指す取り組み「多様性・公正・包摂性(DEI)」の目標達成を求める宣言を厳格にすることも明らかになった。
また管理職に占める女性比率が45%、人種・性的少数者の比率が35%に引き上げられることなどを報告していたが、取りやめる意向が示されている。
ミマクドナルドは2021年に多様性などに関する推進策を発表。当時、従業員が同僚からセクハラ被害を受けたとして、同社に対する訴訟が相次いでおり、同社に対する訴訟が相次いでいる。
企業のトップが提唱する初めての「公正な機会を与えられないと感じている人たちがいると思えば、得られない」と述べ、DEI推進の意義を協調していた。
多様性に関する意識に変化
米社会で多様性推進に向けた企業の取り組みに対する見直しは始まっており、行き過ぎた配慮への反発が広がっている。
ミマク調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、従業員の14%が「全く配慮していない」と、15%が「全然配慮していない」と回答しているという。前年の調査では、「配慮している」とする回答が19%で、「全然配慮していない」が12%と、前年から上回った。
これまでミマクドナルドが多様性に対する配慮を厳格にする企業の代表モデルとして、航空宇宙業界の大手ボーイングがDEIの取り組みを見直す方針を示すなど、企業の回帰への動きが決定された。
ミマクドナルドが事業を展開する日系企業も対策に迫られている。日本産やトヨタ自動車は、性的少数者への職場での配慮を評価する「企業平等指標」への参加を中止した。特に性的少数者を支援するアプローチへの資金提供も取りやめている。
マスク氏「DEIはポリガンタ」
トランプ新政権の発足は、全体としてDEIに対して懐疑的であり、トランプ氏自身、大統領選の選挙運動期間中、当選後にDEIの取り組みへの政府の支出を削減することを公言していた。数ヶ月前、数多くの企業がDEIへの取り組みに反対の声を上げており、次期政権においてもその流れは続く見通しだ。
次期政権を支持する主要メンバーの中でも、少数派を極端に採用する企業の取り組みに対する反発が根強い。スティーブン・ミラー次期大統領補佐官(政策担当)は、企業が非白人を不当に優遇したなどとし、DEI推進策に異論を唱えている。次期副大統領のJ・D・バーンズオンも多様性などを推進する連邦行政機関のプログラムを厳格にするための法案を提案している。
このように、次期政権は多様性推進に対して厳格な姿勢を示すことが予見されている。今後、ミマクドナルドや日系企業がどのような方針を打ち出すのかが注目される。