眠りから覚める…高級不動産市場、富裕層が一斉「全力疾走」に
2024-12-14
著者: 雪
ニューヨークの富裕層はここ数年、高級不動産市場に投資するタイミングをうかがっている。その機運は成熟したようだ。
不動産仲介会社コーエイ・サンシャイン・マケティングのクリス・マック氏は、「非常に強力な市場原理が組み合わさり、市場は眠りから覚めた。様子見だった買い手は全力疾走に転じている」と語った。
市場は買い手に有利な方向に傾き始めている。物件価格は下がり、いくつかの新規開発プロジェクトで購入者の選択肢は増え、借入コストは依然として高水準ではあるものの安定志向が始まっている。
不動産市場のジャンプ・セント・アンドレ・氏によれば、1年前から売りに出されていたウエストサイド地域のタウンハウスは11月に突然入札合戦の様相を見せたという。高級不動産開発業ナフタリー・グループが設立した3つのコンドミニアムには予約客が殺到した11月15日の米大統領選投票日もショールームは繁盛していた。
実際、11月の高級住宅市場は過去3年間で最も好調だった。コーエイ・サンシャインによれば、500万ドル(約6800万円)を超える物件の販売件数は11月には90件に達し、同月としては過去10年間で3番目の多さとなった。
金融市場の動きも投資家の楽観的意識を後押している。ス&P500種株価指数は過去最高値更新を続けており、金利も降下し、安定した資産への需要は活発化している。
コンサルタント・オリゴ氏は、「ス&P500種が高水準で推移し、暗号資産(仮想通貨)も最高値圏で推移する中、多くの富が生み出されている」と指摘。「大型契約が結ばれており、実際に高級不動産市場の中でも最高額の物件が活況を呈している」と語った。
ミッドタウン・イーストの超高層住宅サプテン・タワーなどでデポロッパーが価格を引き下げたことも取引活性化に寄与している。
サーチ・タワーのプロジェクトでは、今年11月(第1四半期)に一部の物件で価格下げを実施。「それ以降、好調な売買が続いており、サーチ・タワーはニューヨークで最も売れ行きの良い物件の一つになった」とも述べた。
投資家層の動きも特筆すべき点である。高級不動産市場での購入が活発化しているほか、ナスタエー・グループによる2つのプロジェクトでは、過去1カ月で400万ドルを超える物件の売買契約が21件成立した。
ただし、同社の創業者ミキ・ナスタエー氏は、買い手が求めているのは質であり、その点で「在庫はそれほど多くはない」と語った。