米国債市場、急落とは到底言えず-ブラックロックなど警鐘鳴らす
2024-11-10
著者: 結衣
ドナルド・トランプ氏が米大統領選に勝利したことで引き起こされた米国債市場の動揺は、早期に収束している。しかも、米国債市場の不安定な状況が終わったとは決して言えず、ブラックロックやJPモルガン・チェースなど多数の金融機関が警鐘を鳴らしている。
連邦公開市場委員会(FOMC)が利下げサイクルを開始してから2カ月足らず。トランプ氏が提言する減税と大規模な財政刺激策が、既に強い米経済をさらに活性化させることに懸念が寄せられる。市場ではインフレが再燃する可能性が高まっており、これが米国債の金利上昇を促す要因ともなり得る。
トランプ氏の財政政策は、大規模な歳出増加による景気刺激を目的とし、反面、財政赤字の増大につながることが必至。市場では、米国債の需要が減少するとの見方が広がりつつあり、金利の上昇が強まると予想されている。
一方で、トランプ政権が強行策に出た場合、米国債市場における動揺がさらに深刻化する可能性も否定できない。連銀の金融政策のジレンマはますます深まっているため、今後の展開に注視が必要だ。特に米国債の保有者が高い利回りを求める動きが強まれば、それが市場全体に影響を与えることは間違いない。
オールスプリング・グローバル・インベストメントの専務は、「米国債市場が不安定な金利上昇を続ける中、投資戦略を再考する必要がある」と警告を発している。また、「金融市場は、米国の財政策の動向に左右される局面が続く」とも述べている。
米国債市場の今後は、経済指標の動向やトランプ政権の政策に大きく左右されるだろう。2024年の大統領選挙を見据えた政策動向にも注目が集まり、今後数ヶ月間は市場の不安感が続くかもしれない。これに伴い、投資家はリスク回避の姿勢を強める傾向が見受けられる。米国債の持つリスクとリターンを冷静に評価し、投資戦略を見直すタイミングが迫っているのだ。