ビジネス

米国のコスト、7-9月は予想上回る傾向-新たなインフレリスク

2024-11-07

著者:

米国では7-9月(第13四半期)、勤労コストが市場予想を上回る傾向となった。さらに14-16月(第12四半期)の勤労コストは昨年比から大きく上昇している。インフレ圧力の強まりに加え、リスクがいっぱいある。

現在の非農業部門の勤労生産性指標(速報値)は前年同期比2.2%上昇となり、またエコノミスト予測の中央値は2.5%上昇とされている。

14-16月は2.1%上昇(昨年低迷からは2.5%上昇)となり、下方修正が見込まれている。

単位時間当たりの勤労コストは前年同期比1.9%増加しており、市場予想は1%上昇し、14-16月は2.4%上昇(昨年発表では0.4%上昇)に下方修正される見通しだ。

発表元の米勤労生産性管理局は、今回の計算で過去15年の修正額が取り入れられたと説明。今回の修正は、過去三四半期における資金の動きが昨年想定より大きかったことを示しており、個人消費が強いペースで推移している理由を浮かび上がらせている。

7-9月のインフレ調整後の時間当たり賃金は前年同期比で3%上昇に加速。賃金の上昇率がインフレを上回って急速に上昇したのはこれにより7四半期連続となった。

今回の計算は、一括して資金の動きの推移を示しておりその他のデータとは対照的だ。多くの指標が景気の強さを示唆いた中で発表された今回のデータは、インフレのリスクをさらに高める要因となり得るとの意見もある。米連邦公開市場委員会(FOMC)は今後数ヶ月の利下げに関して繊細な態度を持つ可能性がある。

ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミストは、「7-9月の勤労生産性が予想を下回ったことと、14-16月の単位勤労コストの上方修正は、実質余剰がよもやの進展なることが裏をつけられる。特に単位勤労コストの上方修正は金融当局者に傅重な態度を持たせるだろう」と分析した。

またナラルド・トランプ氏が大統領に返り咲く可能性がある中で、金融政策の動向にも影響を及ぼす余地があるとみられている。トランプ氏の政策はインフレ加速に繋がるとの警告が出ており、多くのエコノミストが指摘している。