米国が中国製ドローンの禁止を検討 「強すぎるDJI」の行方は
2025-01-13
著者: 海斗
米商務省の産業安全保護局(BIS)は、国家安全保障上の懸念から、中国製ドローン(無人機)の輸入・販売を制限または禁止する新たな規制を検討している。
業界を支配するDJIは中国メーカーで、米国のドローン市場で75%超のシェアを持ち、商業用途においては90%を超える。中国メーカーを排除すれば市場は激変し、大きな空白が生まれることになる。
具体的に規制するかどうかは、20日に発足するドナルド・トランプ次期政権の決定に委ねられている。何が問題で、どのような結果が考えられるのか。
競争に勝ったDJI
2010年代初めに、米国のドローン市場では、米国の大手メーカー数社が競合していた。3Dロボティクス、スカイディオ、ティーリンクなどだ。それらすべてを打ち破ったのが、中国の深センに本社を置くDJI(大亜創新科技)だった。2013年1月に発売された同社のドローン「Phantom」は、箱から出してすぐに飛ばすことができ、空中からの撮影を誰でも手軽に楽しめるようにした。
DJIは事業の強化に成功している。直接競合を進めた結果、自社の要件に合ったカメラなど電気部品を自前で調達できるようになり、既存の部品に合わせてドローンを設計する必要はなくなった。得た利益を研究開発に投資し、エンタープライズを大量に活用して高性能で効率的な製品を生み出した。
DJIは新たな市場を切り開いていた。ドローンユーザーや映像制作者向けの小型ドローンの他に、農業や製造、ファイストレースポンダー(消防や警察、医療などの初動対応者)用に新たに大型ドローンも投入した。最新製品である「Neo」は、ドローンとしてはありえないほどの低価格(日本では3万円程度)で、「視界から飛行して自撮りしてくれるカメラ」と言われており、今後も新たな動画コンテンツを手軽に制作できるような機能を搭載している。
実際、米国テック系メディアのエンガジェットでは2024年の「カメラ・オブ・ザ・イヤー」として推奨されている。