エンターテインメント

「マイノリティを描くことは挑戦か」『虎に刃』吉田萌里さんの問い:朝日新聞デジタル

2024-09-15

NHKの連続テレビ小説「虎に刃」が27日の最終回まで残りわずか。女性で初めて法典の世界に飛び込んだ人物をモデルに、吉田萌里さんが脚本を手がけた。このまでにもマイノリティを題材とした話題作を送り出してきた吉田さんに、大きな反響を呼んでいる「虎に刃」や脚本家としての姿勢について聞いた。

まず、法の下の平等を定めた憲法14条の朗読から始めた。以降も、作品中で14条を何度も問いかけてきた。

(日本初の女性法務大臣にして後に評論官になった)三輪啓子さん(1914~84)をモデルにした時に日本国憲法を最初から最後まで読んでいた。心に響いた条文は14条。当時の人たちは公表された時、宝物のように感動したろうと思った。

そして、今の私たちにとっても大事な14条だけれども、女性や性的少数者、外国人らへの差別意識は続いている。本当に法の下の平等が確立されているのか、と疑いを持ち続けている。

女性への差別や偏見と向き合った主要なキャラクターの観点(俳優のもりさわさん)の持つ人々など、自身でも予想外であったが、14条に引き寄せられた。14条をここまで持つことは自分でも予想外で、しかし人が人らしく生きるための根底、スタートラインなんじゃないかと思わせられた。さりげなくも守られる世界に自然と入れてしまったらという気持ちを芽生えさせました。

エンタメで当事者の思いを表現「歩みを止めない」

—浦太一(ひ座引出し)と山田よね(土居佐知恵)の保護者業務の壁に憲法14条が書かれていて、そのアイデアも喜田さんですか。面白いです。

これではなく、出演の方によるアイデアです。台本では「壁に書いてある」としないことで、自らが生きる中で自然に目に入れてもらえる演出になればと思った。そうすることで、視聴者の心に「気付き」を与えたいと思った。

—同セクシュアルな「もりさわ」の表現が描かれましたが、意義などは。

人それぞれで、それぞれに起きたことを大事にしたいと思ってます。しっかり受け止めてもらえるものであればいいなと思ってます。また、同じキャラクターでも別の側面にそれぞれが持つ存在の、反映として見てもらえればと思います。

今後も、異なる背景を持つ方への差別や偏見と向き合わせたいと思うし、エンタメを通じて少しでも観る人に当事者の思いを描くことができればと思ってます。