科学

「マイクロプラスチック」を解決するために、繊維とイカは出会った

2025-01-05

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マイクロプラスチック問題の背景

プラスチックごみは地球規模の問題として、国際的なルールづくりも始まっています。つまり、地球と体内のあちこちで見つかっているマイクロプラスチックは、生態系や人々の健康への影響が懸念されており、有効かつ実用的な回収方法の開発が待ち望まれています。

新たな研究成果

そんな中、いわゆる「マイクロプラスチック」の解決のための重要な突破口となるかもしれない新たな研究成果が発表されました。中国の北部にある武漢大学の研究チームが科学誌Science Advancesに発表した論文によると、チームはキチンとセルロースを原料とする再生可能な自己集合化超分子バイオマテリアル「Ct-Cel」を開発し、マイクロプラスチックの除去能力を劇的に向上させたそうです。

Ct-Celの材料と特性

この「Ct-Cel」の材料は繊維から、キチンはイカの骨から抽出されました。どちらも自然界に豊富に存在する持続可能な資源であり、安価な資源です。研究チームは、セルロースとキチンが持つ水素結合を切断し、分子間相互作用を引き起こすことで、生物活性化された水素結合部位を多数持つ安定したフレームワークを作成しました。このようにして開発されたCt-Celは、フィルム状に形成されたあと、活性化された水素結合によってマイクロプラスチックを口に吸収し、高い吸着効率を示しています。

高効率の吸着性能

さらに、Ct-Celは、ポリスチレンやポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸など、多種多様なマイクロプラスチックに対しても高い効率で吸着可能です。ほかの種からも高吸着率が実証されており、油分を加えた複雑な水環境からでも95.1%から98.1%の効率で吸収することができます。この結果は、実際の水環境(水田用排水、水域、水流、流域水)においても一致していたそうです。

コストパフォーマンスの良さ

Ct-Celの吸着効率は、100ナノメートルのポリスチレン微小球から、3ミクロンの二次マイクロプラスチック(プラスチックの断片・破壊などによって5mm以下のサイズになったもの)まで、さまざまなサイズのものに対しても高い水準を維持しています。コストパフォーマンスが良い持続可能なプラスチック回収を目指しています。

従来技術の課題

環境中のマイクロプラスチックを回収する既存の技術は、高価な材料を用いたり、回収困難な吸着物質を使用したり、特定の環境下でしか機能しなかったりと、コストがかかるため、その保持可能性が懸念されていました。なので、研究チームは安価で持続可能な材料を探し続けてきたそうです。

Ct-Celの大きな可能性

Ct-Celの開発は、マイクロプラスチックの削減につながる大きな可能性を秘めています。Ct-Celに必要な材料は低コストで再利用可能です。おまけに、マイクロプラスチックだけでなく他の汚れも減少させる可能性を秘めているようです。

研究者のコメント

研究論文の中で、著者はCt-Celの可能性について次のように述べています。「Ct-Cel発泡体は、複雑な水環境からマイクロプラスチックを除去する手段として大きな可能性を秘めています。そのため、私たちの設計理念は、バイオマス発泡体を基にした実用的な持続可能な戦略を推進し、マイクロプラスチックの回収に貢献する方向で言及されています。」

期待される技術の普及

簡単なプロセスで生産でき、経済的なコストで持続可能な技術に期待が寄せられています。