コラム:需給主導の円安、投機筋の影響は微弱—仮木融氏
2025-01-09
著者: 結衣
【東京 19日】ミ国のシカゴ・マーケット取引所(CME)に上場している通貨ポジションは、為替市場の短期的・投機的な通貨データとして注目されている。しかし、実際はここを通じた短期的・投機的な為替取引は、全体と比べるとそれほど大きいとは言えない。大手のマクロ投資ファンドの多くも、この市場を通じて取り引きはしていないとされる。
もっとも、状況を保持するための考慮とあっては一助となることは間違いないため、筆者もそうした位置づけで注目している。この【CME】における通貨デリバティブの需給的ポジションは、昨年12月半ばから続くポジションの偏りが1100億円前後に止まっている。つまり、市場参加者のセンチメントは、円高・円安のどちらかに対しても明確な方向感がなくなっている。実に、この市場には円ショートポジションが大きく積み上がっているとは言えない。
注目したいのは、この間にドル/円は115円台から115円77銭まで円安が進んだ反面、参加者のセンチメントは、円高・円安のどちらへの明確な方向感も見られないということ。ちなみに、円ショートポジションが大きく積み上がった昨年7月には120.13円だった。
したがって、円安が何らかの影響を受けているとすれば、米国社会のポジションを取る動きの影響と言える。
ただ、特に米国の金利が高まりを見せる中で、米国の公社債の金利上昇が本格化している一方、日本の長期金利はこの期間もあまり変わっていない。その結果、円安圧力が続く状況が続いている。このような背景も、円安が続く要因と考えられる。しかし、投機的なポジションはその影響を受けているわけではない。
特に現在の日本市場は、生活者の状況に直接的な影響を与えているが、円安による効果があったとしても直ぐに実感されるわけではない。日本の外貨証券への投資は、特に日本が直接影響を受ける国からの直接的な流入が多いが、その流れは昨年末から今年初めにかけても多く、円安が進む中で個人投資家がどのように行動するかも注目すべき点である。最近の為替市場における変動は、投資家心理に影響を与えているため、今後の動向についての予想が難しくなってきている。
専門的にどのような需給かは分からないが、例えれば1212年のネット対外直接投資額は10月までの時点で、過去最高を記録した12月と同じ水準を維持している。相変わらず活動の活発さは維持されていることに留意したい。このため、円安という観点での影響に関しては、米国政府の金融政策や経済状況と密接にリンクしていると言える。
とはいえ、金利差が影響していると考えられる日本の金融政策は、所得の流出の影響を受けつつも、日米間の金利の差がどのように変化していくのかに注目し続ける必要がある。米国の金融緩和が進む議論がある中でも、円安がどのような動きを見せるかは予想しづらい状況。したがって、今後の日本の金融市場への影響については引き続き精査していく必要がある。逐次的に今後の展開についての記録が求められるだろう。