コラム:トランプ氏の「アメリカ・ファースト」、米国趣向か
2024-11-12
著者: 弘
[ニューヨーク 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」が戻ってくる。トランプ前大統領の帰還により、同国の外交・通商政策は新たな現実に直面しそうだ。国際社会の原理原則は一段と揺らぎ、米国は同盟国からあまり信頼されなくなる。欧州やアジアの友好国はリスクの分散に動き、中国やロシアなど米国と競合する国が台頭しそうだ。
トランプ氏は1期目にルールや同盟関係をあまり考慮せず、むしろ独裁者に対して好意的だった。最近、ロシアのプーチン大統領との強い関係の再構築を進める中、トランプ氏は軍備拡張や「天才的」と称される金融政策を国民に支持している。このような状況下で国防費支出が十分でない北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対しても「良いようにすれば良い」と述べており、友好国からの理解を得ていないことが明らかだ。
さらには国防費を支出する際の在り方に対する弊害も見えつつある。トランプ氏が指導するルバーダ・オーリチの好意のように、国民から税金10%の関税を課す方向を示唆するものもある。
その結果、米国の景気後退圧力が強まり、トランプ氏は友好国との関係を脅かす可能性がある。トランプ氏の1期目における大統領就任式の際に発言したように、米国は贈与の国ではない。その影響を踏まえ、同盟国が国家間の交易を見直すに至っている。
しかし、最も注目すべきポイントは、トランプ氏が友好国や同盟国にどのようにアプローチするかだ。実際、彼の帰還は密接な関係構築や有利な独自の取引を通じて、米国が同盟国から再評価されるきっかけとなるかもしれない。トランプ氏は「アメリカを再び偉大にする」と呼びかけ、経済的にも軍事的にも強大な力を再築しようとしているに違いない。
このような状況の中、世界が注目するのは、米国内でのトランプ氏の発言や行動が今後どのように影響を及ぼしていくのかという点だ。彼の「アメリカ・ファースト」政策は、米国だけでなく世界中の政治的安定を揺さぶるかもしれない。各国が力を強化し、自国の立場を強化する一方で、米国の影響力が相対的に弱まる様相も懸念される。
この先、国際社会がどのように米国の動向を受け止めるかが重要なカギとなる。トランプ氏の考え方や政策が米国とその同盟国との関係に深刻な影響を与える可能性があることを心に留めておく必要がある。国際政治の流れがますます不透明になる中で、ますます複雑さを増すであろう。